本パネルは現代カンボジアの農村社会のダイナミズムを検討するもであった。1990年代初頭に内戦終結以来、この国では実にさまざまな変化が起きてきた。農村での生活では、他国では長期的に起きる変化が圧縮されるかたちで生じでいる。そのため、近代化や開発を問い直すのにカンボジアは重要な事例となる。カンボジアの農村共同体とは他国の同様の発展経路を歩むのだろうか。また、カンボジアの農村生活の特質とは何なのか。このパネルでは4人の報告者がそれぞれの観点からこの疑問を検討した。最初に小林知がPursat Provinceでのフィールド調査に基づいて社会経済的変化への村人の対応を考察し、続いて、Heng Molyanethが海外労働のホスト世帯へのインパクトについて、さらにThath Ridoがマイクロファイナンスの浸透による農村世帯の変化について、最後にSok Sereyが中国企業による論争的な巨大投資について研究報告を行った。その後、活発な質疑応答もあり、カンボジア社会の多角的な変容過程に議論を深めることができた。
Panelists:
1. Diversity and Vulnerability: Do Recent Changes Cause a Loss of Resilience of Rural Livlihoods in Cambodia?
Satoru Kobayashi (Kyoto University)
2. Loss and Damage of Drought Disaster in Cambodia: An Application of AHP Rido Thath (Meiji Gakuin University)
3. Effects of Labor Migration on Poverty: Evidence from Cambodia-Thailand Cross-Border Labor Migration Heng Molyaneth (Royal University of Phnom Penh)
4. Chinese Agricultural Investment in Cambodia: Opportunities and Challenges for Poverty Reduction Sok Serey (Royal University of Phnom Penh)