5.1 Southeast Asian Military Resurgence : what and how ?

このパネルは、民主化の時代と呼ばれる現代において、タイ、ミャンマー、インドネシアの軍隊がどのようにその政治的影響力を維持・拡大しようとしているのかを検討するものであった。報告タイトルは以下のとおりである。

1. Military Wealth in Thailand: How and How Much?
Ukrist Pathmanand (Chulalongkorn University)

2. Back to People’s Army?: Reforms of Myanmar’s Armed Forces after 2011
Win Myat Aung (SEAMEO-CHAT) and Yoshihiro Nakanishi (Kyoto University)

3. The Ideological Return of the Military in Indonesia
Masaaki Okamoto (Kyoto University)

Ukrist Pathmanandの報告はタイの軍将校たちの経済的利権の源泉が歴史的にどのように変容してきたのかを検討した挑戦的なものである。かつては華人系実業家との癒着が重要な富の源泉だったが、最近では高級将校の政治家への転身が目立っており、あらたな富の源泉になっていると報告者は主張した。Win Myat Aung & Yoshihiro Nakanishiはミャンマーの国軍が2011年の改革後にその言説やその広報戦略をどのように変容させきたのかを明らかにしようとしたものであった。国軍の政治的な役割を正当化する言説には軍事政権からそれほど大きな変化は見受けられなかったが、広報戦略では司令官のフェイスブックページが開設されるなど大きな変化があることが報告された。Masaaki Okamotoはインドネシア軍が時代に合わせてその脅威認識をより社会的なものに変化させ、ナショナリズムをその影響力の拠り所としていることを明らかにした。また、治安維持の機能の民営化も進み、そこに退役軍人が関与するなど、組織的にも非公式に影響力を広げていることが明らかになった。30人を越える聴衆が参加し、それぞれの報告に対して多くの質問が提起され、報告者にとって最終成果をまとめる前の重要なフィードバックが得られる機会となった。

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