受賞

【受賞】松林公蔵 (教授)、奥宮清人 (連携准教授)、藤澤道子 (連携准教授)、和田泰三 (特任准教授)が 科学技術分野の文部科学大臣表彰・科学技術賞(理解増進部門)を受賞しました。

松林公蔵 (教授)、奥宮清人 (連携准教授)、藤澤道子 (連携准教授)、和田泰三 (特任准教授)が
科学技術分野の文部科学大臣表彰・科学技術賞(理解増進部門)を受賞しました。


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4月15日(水)表彰式での写真 左から和田泰三 (特任准教授),松林公蔵 (教授),奥宮清人 (連携准教授),藤澤道子 (連携准教授)

地域高齢者の健康意識向上を目指すフィールド医学の普及啓発」の取組について

  高齢者の医療は、必ずしも病院のみでは完結しません。病院医療が高度に専門分化した結果、医療者はその専門の臓器病変のみに関心を集め、それ以外の問題を顧みる余裕がないのが実情でもありましょう。その患者さんがどういうふうに暮らしており、どんな仲間や家族がいて、どんなものを食べ、日常生活の上でどんな課題を抱えているのか、本人にとって老後の生きがいとは何か、こういった問題は、臓器別に編成された大病院中心の医療ではほとんどわかりにくい。しかし、高齢者が、さまざまな慢性疾患をかかえつつ老後を過ごす「場」は、あくまで生態も文化も異なる個々の地域であり家庭にあります。高齢者のありのままの姿を掬い上げようとするならば、むしろ医療スタッフのほうが高齢者の生活の場へでてゆき、それぞれ固有の生態環境・文化背景の枠組みを理解しつつ、診察することが重要と考えました。病院から患者さんが生活している地域へでてゆく「フィールド医学」の原点は、このような高齢者医療の本質にかかわる認識にありました。

 「高齢者フィールド医学」は、医療フィールドワーカーが異分野の研究者とも共同して、さらに当該地域の自治体、医療機関、住民組織、住民個々と協働して、その地域に即した地域高齢者にふさわしいヘルスケア・デザインの構築をめざしております。
 「フィールド医学」は、1990年に高知県・香北町から始まり、その後、東南アジア諸地域、世界の高地からブータンにまで拡大しました。これらの25年にわたる積み重ねが、意義あるものと評価されたことは、ほんとうに嬉しいことです。
 「フィールド医学」を通じて世に問うた著作は、平成27年4月現在までで、英文著書:7、和文著書:56,英文論文(査読付き):176,和文論文(査読付き):126、総説(査読なし):112となり、「フィールド医学」が世に報じられた新聞記事は117回を数えます。

受賞にあたってのコメント

  • 「フィールド医学」という分野は、最初は高知医大の「一学生クラブ組織」から始まりましたが、2000年からは京都大学の「講座」として認知され、今回、国から表彰を受けましたことは、創始者として、まことに感慨無量です。数えきれない多数の協力者のかたがたに、こころから感謝申し上げます。(松林公蔵)
  • 受賞者の立派な業績集を拝見しまして、日本に多大な貢献をされた科学技術賞受賞者の方々と、フィールド医学の多くの協力者の方々に、祝福とエールをお送りしたい気持ちになりました。(奥宮清人)
  • 私の原点となった香北町フィールド医学から続けている活動でこのような表彰を受けることになり、たいへんうれしく思います。これからも、地域社会に根ざした研究と社会貢献を目指したいと思います。関係者の皆さまには、誠にありがとうございました。(藤澤道子)
  • ミャンマー、インドネシア、ベトナムなどの東南アジア各国に加えて、高知県や北海道など国内外の農村部在住高齢者のフィールド医学調査を行ってきました。実験室や病院(ベッドサイド)を離れて、生活の場(フィールド)で医学研究をし、異分野の研究者らとも議論できるユニークな研究環境は、京都大学東南アジア研究所ならではのものとおもいます。
    ご協力いただいた高齢者のみなさん、関係者のみなさんに心より感謝申し上げます。(和田泰三)

 

平成27年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者等の決定について

 

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