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東南アジア都市政治研究会

2015/05/01 @ 3:30 PM - 5:00 PM

日時:2015年5月1日(金)15:30-

場所: 京都大学 稲盛財団記念館3階 中会議室

報告1:「生まれ変わる都市, 生み出される再定住地 ── マニラ首都圏の防災政策と都市の再編を事例に」
西尾善太(京都大学大学院 アジアアフリカ地域地域研究科)

 マニラ首都圏の都市貧困世帯は, 1960年代以降都市のあらゆる所に住まい, 居座り続けてきた。しかし,近年の再開発による強制撤去や防災計画による撤去により, こうした貧困世帯の郊外への集積が行われており, 数年前には荒野だった土地に,再定住地が生み出されている。再定住の問題を考察する上で, これまでのスクワッター地区への行政による政策の遍歴を追い,現在進められている防災計画による撤去と再定住を位置づける必要がある。
 その上で, 従来の再定住地へ対抗する言説として, 強制撤去の暴力性, 生活・習慣・コミュニティの破壊などが政治組織によって叫ばれる中で,実際に再定住地へと移った人々の生活は必ずしも崩壊している訳ではない。移住者の生活をめぐる戦いは, 再定住地の内部で生じており,新たな関係性や生活戦術の構築と蓄積がなされている。従来のスクワッター信仰から離れ,新たな地で暮らすことの萌芽を提示するのが本研究の目的である。

報告2: 「民主化過程の周縁で──インドネシアの民主化においてエスニシティを資源とした大衆組織がもつ意味」
中村昇平(京都大学大学院文学研究科)

 現在のインドネシア社会は民主化の進展と権威主義体制への反動が拮抗する状況にある。本発表ではこの二面性を顕著に体現する局面としてエスニシティを動員原理に掲げる大衆組織の活動に焦点を当てる。先行研究においてこうした組織は一様に民衆から社会経済的資源を搾取する動員主体として描かれてきた。本発表は、動員対象である中下層の住民にとって収奪者となる危険性と庇護者となる可能性とを併せ持つ大衆組織の両義性を、動員される住民からの視点に注目して考察する。
 こうした両義性は現実には単純で平板な二項対立図式に収まるものではない。それらは複雑に絡まり合うかたちで生起する。しかしそれにも拘らず、人びとの表象や語りの次元では二分法的修辞が反復され、強調される。二分法の修辞に注目して生活世界の視点から大衆組織の活動を見れば、それがある局面においては住民の生活世界を拡張する契機として、人々が自らの目的達成のために利用可能な社会的資源を提供する回路の一つとして認識されていることが分かる。こうした考察を通して、エスニシティを資源とした大衆組織の活動が草の根からの民主主義定着に沿ったかたちで展開する可能性を示すことが本発表の目的である。

問い合わせ先
名古屋大学大学院国際開発研究科
日下 渉
kusaka[at]gsid.nagoya-u.ac.jp

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日付:
2015/05/01
時間:
3:30 PM - 5:00 PM
イベントカテゴリー:

主催者

日下 渉