cseas nl75 特集2 オンライン動画プログラム「地域研究への招待」第1期公開

フィールドノートを受け継ぐ
―フィールドデータベース・プロジェクト―

「ここはいったいどういうところだろう」「人びとはどうやって暮らしているのだろう」「社会はどのように成り立っているのだろう」……。こうした疑問から始まるような海外学術調査では、現地(フィールド)の様子をよく観察することが不可欠です。フィールドで観察した事実はメモや写真、映像などさまざまな方法で記録しますが、そのひとつがフィールドノートです。研究者は自分の関心に応じて自分にわかりやすいように多種多様なフィールドノートを作成するので、その内容は一般に他人にはわかりにくいことが多く、公開することも前提とされていません。一方で、そこに記録されているのはひとりの研究者が自分の目を通して、可能な限り主観を排して記した客観的事実であり、その時、その場所での状況を知るには実に有用な情報を含んでいることがあります。

フィールドノートアーカイブ

 このため、またデジタル化の進展に伴い、フィールドノートを公開するケースも増えてきました。ただ、現状では手書きのノートをそのまま並べてデータベースとしていることが多く、利用者にとって扱いやすいものとなっているかは疑問でした。

専門家ではないけれどある地域や時期に関心をもつ人がアクセスしやすく、直感的に操作でき、自身の関心のありかを探るツールとなりうるデータベースとはどのようなものか。この観点から作成したのがフィールドノートアーカイブです。文字はテキストデータ化し図や写真と連動させて地図上に配置し、「コーヒー」「泥炭」などの項目ごとの検索が可能、さらに将来的には複数の研究者の記録を比較検討することも想定したデータベースとして設計しています。広く関心をもつ人に利用していただけることを願っています。

 

 

もう少し深く知りたい方への文献紹介