京都大学東南アジア研究所では、以下の4種類の叢書を刊行しています。当初は所員の研究成果公開の場でしたが、2000年以降広く一般からの応募も受け付けています。
地域研究叢書
1995年、東南アジア研究センター(当時)と京都大学学術出版会との間で覚書が交わされ、『地域研究叢書』が誕生しました。この叢書は、センター創立30年の節目に、これまでの蓄積のうえに地域研究のあるべき姿を求めていくうえで重要な発信の場として創設されたものです。現在、東南アジアはグローバル化の渦中にありますが、今こそ個々の地域に根差した地域理解、そして地域に即した世界認識が必要とされています。本叢書は、その課題に積極的に取り組むために、オリジナルな調査・資料に基づく、綿密な分析と独創的な着想による、地域研究への貢献となる書籍の出版を目指しています。おかげさまで、本叢書からは多くの受賞作が生まれていることも、学術的なレベルの証左となっています。創刊当初は主に所員の発表の場でしたが、2000年からは外部からの投稿を受け付けるようになりました。本叢書は、東南アジア研究所出版委員会が専門家3名による厳正な査読を経て、出版を認めるものです。
Kyoto CSEAS Series on Asian Studies
本シリーズは、欧米中心の英文出版に対して、質・量ともにレベルアップしているアジアからの地域研究の成果を発信していくニーズの高まりを受け、2009年に創刊されました。京都大学学術出版会とシンガポールのNational University of Singapore Pressとの共同で出版しています。アジアのみならず欧米の読者を対象としており、販路の広いものですが、それだけに広い読者層を意識し、アジア研究に一石を投じるような、問題意識が鮮明でかつ緻密な議論を展開する学術書を目指しています。査読はシンガポール国立大学出版会と東南アジア研究所出版委員会との協議の上、専門分野で活躍する外部研究者数名に依頼して行っています。査読・改訂等が終了後、制作はシンガポールで行います。
京都大学東南アジア研究所 編集室 「Kyoto CSEAS Series on Asian Studies」:HP
Kyoto Area Studies on Asia
和文叢書と姉妹版の英文叢書として、1999年に創刊されたもので、京都大学学術出版会とオーストラリアのTrans Pacific Pressとの共同で出版しています。和文叢書同様、創刊当初は主に所員の発表の場でしたが、2000年からは国外も含め、外部からの投稿を受け付けるようになりました。創刊の趣旨は和文叢書と同様、これまでの蓄積のうえに地域研究のあるべき姿を求め、かつ日本やアジアからの研究発信を盛んにすべく創設されたものです。現在、東南アジアはグローバル化の渦中にありますが、今こそ個々の地域に根差した地域理解、そして地域に即した世界認識が必要とされています。本叢書は、その課題に積極的に取り組むために、オリジナルな調査・資料に基づく、独創的な着想と綿密な分析により、地域研究に貢献する書籍の出版を目指しています。本叢書は、東南アジア研究所出版委員会が国内外の専門家3名に依頼する厳正な査読を経て、出版を認めるものです。
京都大学東南アジア研究所 編集室 「Kyoto Area Studies on Asia」:HP
Monographs of the Center for Southeast Asian Studies
1966年に創刊された東南アジア研究叢書と足並みをそろえ、東南アジア研究センター(当時)から出版された英文叢書です。第7冊からは、ハワイ大学出版会に出版を委託し、現在21冊を数えます。東南アジア研究所出版委員会が外部者に委託した査読の後に、ハワイ大学出版会独自の査読があります。学術的に先進性が見いだせるのみならず、広い読者を望めるものとするための出版社としての査読となります。アメリカの大学出版会として広い販路を持ちますが、内容にはかなり立ち入ったエディティングがなされます。
京都大学東南アジア研究所 編集室 「Monographs of the Center for Southeast Asian Studies」:HP
東南アジア研究叢書
東南アジア研究センター(当時)の草創期に活躍され、官制化を目前にして急逝された棚瀬襄爾博士の『他界観念の原始形態』が、1966年「東南アジア研究叢書」の第1冊として刊行されました。その後、第4冊からは出版を創文社に委託し、24冊にいたりました。その内訳は、所員ならびに関係者による単著が14冊、論文集が8冊、翻訳書が2冊ですが、論文集には、10周年、15周年、20周年の節目に所員の代表作を集めて編まれたものもあり、その一冊一冊が東南アジア研究の新しい地平を切り開いてきたといえるかもしれません。なお、本シリーズは1991年以降、刊行されていません。