リーダー挨拶
本事業「東南アジアにおける持続型生存基盤研究」は、2007~11年度に実施したグローバルCOEプログラム「生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点」の成果を継承し、そこで構築した持続型生存基盤パラダイムを東南アジアの現場で再検討し、100年、200年先を見通して人類社会の持続性を考える礎となる骨太のパラダイムへと鍛え上げることを目的としたものです。
東南アジアは、さまざまな問題に直面し、それを乗り越えてきました。多様な歴史的、文化的背景をもつ人々が混住しています。民族や宗教の違いを乗り越えて一つの社会を創ろうと努力してきました。東南アジアの自然は、圧倒的な力をもち、かつ気まぐれです。そんな自然に依拠し、また活用しようと努力してきました。その過程で多くの新たな問題を生んできたことも確かです。しかしこれらは、世界の知恵を結集したとしても必ずしも答えを見いだせない課題です。多文化共生、環境調和、資源・エネルギー節約という人類社会が協力して取り組むべき課題を、東南アジアの経験と実績を踏まえて考えていきたいと思います。
そのためには、東南アジアの研究組織との連携が不可欠です。本事業のもう一つの柱は、東南アジアのみならず、諸外国の研究組織・研究者との学術ネットワークを組織化し、さまざまな国や研究分野の研究者が面と向かって議論を交わし、ともに人類社会の将来に貢献する研究を推進することです。ともに研究し、議論を深めていきましょう。
京都大学東南アジア研究所
所長 河野 泰之