国家が堅固で閉鎖された境界を設定する近代以前、海は様々な地域、異なる国家の人々を分かつものであるよりも連結するものだった。海によるリンクのもとで国家は二次的な要因にすぎない。海洋世界の移動、交易、概念の交換を担ったのは個人や地域だった。その結果、海における個人、社会、地域、そして国家間の関係は、国家がより重要な役割を果たす陸のものとはかなり異なる特質をもつ。したがって東アジアと東南アジアの地域間関係を海から研究することは、このアジアにおける地域間ネットワークを重要なテーマとする本プログラムにおいても不可欠な視点である。
 東アジアと東南アジアは海でつながる。したがってこの共同研究では黄海、東シナ海、日本海、南シナ海、そして台湾海峡、バシー海峡、そしてマラッカ海峡を含む地域を対象とする。これらの海や海峡谷は異なる地域を連結してきた。これらのつながりを歴史を通じて検証することは、従来、それぞれの地域における国家の研究に終始してきた我々の東アジア、東南アジアやその関係史の理解に新しい局面をもたらすだろう。本共同研究では、先史から現代までの時間の流れの中で、考古学、歴史学、人類学そして自然科学分野を学際的に取り入れて、物質文化を通じてみる先史からの関係性、地域間交易ネットワーク、海域ネットワークを通じて広がる宗教と文化、移住と移住先コミュニティ、海洋における暴力と安全保障、そして台風、地震、海洋資源の研究協力などを目指す。












【平成21年度】
 平成21年10月27−28日に台湾中央研究院アジア太平洋地域研究センターで開催された国際シンポジウム"Maritime Links and Trans-nationalism in Southeast Asia: Past and Present"に参加し、日本側メンバーの山形眞理子氏、蓮田隆志氏が研究発表を行い、台湾側カウンターパートである太田淳氏がコメンテータをつとめ、研究交流を深めた。また小泉を交え、年度後半の共同研究の進め方について打ち合わせをした。その後平成22年2月26−27日には、共同研究2のワークショップ Writing Radically Different Southeast Asia: from Non-State-Centered Perspectivesに太田淳氏と小泉が参加し、グループ間の相互理解も図りつつ、今後の進め方を協議した。

【平成22年度】
 国家が堅固で閉鎖された境界を設定する近代以前、海は様々な地域、異なる国家の人々を分かつものであるよりも連結するものだった。海によるリンクのもとで国家は二次的な要因にすぎない。海洋世界の移動、交易、概念の交換を担ったのは個人や地域だった。その結果、海における個人、社会、地域、そして国家間の関係は、国家がより重要な役割を果たす陸のものとはかなり異なる特質をもつ。したがって東アジアと東南アジアの地域間関係を海から研究することは、このアジアにおける地域間ネットワークを重要なテーマとする本プログラムにおいても不可欠な視点である。
 こうした視点のもとで、前年度、共同研究2−1(脱国家領域的ネットワーク形成)に合流した。本年度は、国家中心モデルの再考を、海域世界から見直すことで同テーマに貢献することを目指し、1月の合同セミナーに向けて準備を進める。東アジアと東南アジアは海でつながる。したがってこの共同研究では黄海、東シナ海、日本海、南シナ海、そして台湾海峡、バシー海峡、そしてマラッカ海峡を含む地域を対象とする。これらの海や海峡谷は異なる地域を連結してきた。これらのつながりを歴史を通じて検証することは、従来、それぞれの地域における国家の研究に終始してきた我々の東アジア、東南アジアやその関係史の理解に新しい局面をもたらすだろう。本共同研究では、先史から現代までの時間の流れの中で、考古学、歴史学、人類学そして自然科学分野を学際的に取り入れて、物質文化を通じてみる先史からの関係性、地域間交易ネットワーク、海域ネットワークを通じて広がる宗教と文化、移住と移住先コミュニティ、海洋における暴力と安全保障、そして台風、地震、海洋資源の研究協力などを目指す。










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