これまでの東南アジア諸国との教育支援の実績と現状をふまえ、本アジア拠点事業においては、国際研究協力ネットワークの広域アジア化という目標の一貫として広く若手研究者の交流促進を志す。ITPやグローバルCOE、外国人特別研究員(ポスドク)、論博などの既存の事業や制度を利用した臨地研究や現地語習得のための大学院生派遣、若手研究者受け入れについて、本事業の各カウンターパート機関と連携してより有効に進め、大学院前期課程からポスドクにいたるまでの若手育成に寄与する。セミナーやシンポジウムには若手を積極的に動員し、発表の機会を与え、将来有望な若手研究者を見出し、ポスドクなどの機会を与える。さらに、本事業の研究者ネットワークを活用し、各拠点機関、あるいは相手国の協力機関において、短期集中型の大学院授業として東南アジア・セミナーを開講する。また、若手研究者による発表の機会とするジュニア・カンファレンスを開催することにより、将来的に本事業で形成する広域アジア・ネットワークを担う若手研究者の育成と交流を図る。

《東南アジア・セミナー》
 東南アジア研究所では、毎年若手研究者を対象とした公開の東南アジア・セミナーを開催している。このセミナーの国際版をカウンターパート各国の機関にて、本申請事業の形成するネットワークの中から講師を招集して提供することで、本ネットワークからの先端的な東南アジア社会発展モデル構築の研究成果をもって若手への刺激とする。

《若手研究者・大学院生の発表・交流の奨励》
 また、各国にて若手研究者・大学院生を中心に開催する研究交流を奨励し、支援することにより、本事業で形成するネットワークを将来引き継ぐ若手の研究交流を促進する。

《出版・若手成果発信》
 若手研究者によるジュニア・カンファレンスや、本事業のセミナー・シンポジウムにおける発表を、積極的に成果として出版する。ワーキング・ペーパー、『東南アジア研究』への投稿、ネットジャーナルKRSEAへの投稿、および叢書出版への投稿を適宜促す。

■ 広域アジアの若手研究者交流・育成(種まきと収穫) 





【平成21年度報告】
 9月に開催された東南アジア研究所定例セミナー「「東南アジア」を地域としてどう考えるか」【平成21年9月7日〜11日】が、今年度は英語で実施されたため、カウンターパート国・機関を中心に本事業によりアジアから若手研究者を13名招聘した(韓国3名、台湾2名、タイ3名、マレーシア1名、インドネシア3名、フィリピン1名、これに加え、講師としてイスラエルから1名)。日本の若手参加者とともに活発な議論が行われた。本セミナーに参加した中から、2名は、共同研究メンバーとして2月のセミナーにも参加することとなった。このほかにも、新年度以降開始する共同研究に参加してもらう予定である。また、インドネシア、タイ、台湾からの参加者は、その後、各国における本事業を担っていくことを期待している。こうしたセミナーに対する需要が非常に高いことも今回のセミナーで確認できた。




【2009年度 東南アジアセミナーへの招聘】
■ The 33rd Southeast Asia Seminar September 7-11, 2009

■ Seminar Participants by Asian Core Program

【インドネシア大学との共同セミナー】

 セミナーは、京都大学東南アジア研究所とインドネシア大学大学院日本地域研究研究科が、地域研究手法の発展について、今日のインドネシア経済社会文化における緊急課題を日本との比較において研究しその成果を発表しあうことで、考察を深め、かつ、インドネシアと日本の相互認識につながる目的で開催した。学生セッションを設け、両国の地域研究大学院生が研究発表し、大学院生の教育に資することも目的とした。学生セッションの研究発表は、インドネシア大学、京都大学、ガジャマダ大学、および韓国Sungkonghoe大学の大学院生、パジャジャラン大学学生さらにAKATIGA財団の若手研究者が参加した。学生セッションのうち労働分野のパネルは京大大学院生による提案に基づくものである。
 セミナーは、主催者の熱意により多数の研究報告や活発な議論が展開された。山田駐ジャカルタ日本大使その他のジャカルタの日本社会を代表する方も参加し、その成果は新聞にも大きく報道された。2年間のセミナーは両日ともインドネシア各地から参加者250人を越えた。特に学生セッションは、ことのほか好評であった。
インドネシア大学共同シンポジウム

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