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Center forSoutheast Asian Studies Kyoto University

共同利用・共同研究拠点

共同研究 (タイプIV: 萌芽型)

「東南アジア史における交易網と中継港の役割」
研究代表者: 川村 朋貴 (富山大学・人文学部)
(実施期間:平成22年度~平成23年度)

研究概要

18 世紀末から20 世紀初頭にかけての東南アジアは、植民地化と世界経済への統合の流れのなかで大きな政治的経済的変動を経験したが、それによって伝統的な交易網が破壊されたのではなく、新しい環境のなかで再編され、発達したことが、近年の研究によって明らかになりつつある。本研究会は、若手研究者による最新の研究をつきあわせることによって、研究の現段階を総括し、東南アジア世界の新しい歴史像を提出することを目的とする。

研究目的・意義・期待される効果

近年、アジア交易圏研究の進展とともに、遠隔地貿易およびインド、中国、日本などとのあいだの「アジア間貿易」の動向が統計的に明らかにされるにつれて、東南アジア域内交易の研究も少しずつ進んできた。本研究会ではその次の段階として、18 世紀末から20 世紀初頭までの東南アジア域内交易史というまったく新しいフィールドの形成を試みる。

現在のところ、日本の東南アジア経済史研究の若手グループによる共同研究は存在しない。いくつかの科研でオーバーラップしていることはあるが、いずれも東南アジアに焦点をあてたものではない。過去4 年間、東南アジア研究所の所内研究会(アジアの政治・経済・歴史研究会)で開いた多くの研究会で蓄積してきたネットワークを基礎に、このテーマについて集中的に討論し、まとまった成果を出すことができれば、大きな意義があると思われる。

本研究への参加者は全員歴史家なので、東南アジア研究所図書室の頻繁な利用者であり、その資料的価値を熟知している。共同研究を契機に資料の収集ができ、研究所のスタッフや滞在する外国人研究員との交流も出来る。

研究成果概要
・京都大学GCOEプログラム・イニシアティブⅠとの共催で、東南アジア研究所にて2回の共同研究会(昨年12月19日、本年2月19日)を行なった。
  ・日本経済史、中国経済史、インド経済史の若手研究者を研究協力者として迎え、詳細な貿易統計に基づきながら、東南アジア域内交易圏の形成と構造をローカル、リージョナル、そしてグローバルな視点で議論した。さらには、これまでほとんど注目されてこなかった蘭領東インド外島間交易圏の存在、ベンガル湾交易圏に隣接するペナン-プーケット貿易の独自性、遠隔地貿易と地域・地方貿易を連結するアジア仲介商人の重要性等を実証的に明らかにすることができた。
  ・カルカッタ、香港、上海、長崎等の東・南アジアの貿易港と、シンガポール、ペナン、マラッカ、バタビア、バンコク等の東南アジアの貿易港を比較・検討し、国際公共財としての「自由港」の存在、バンコクの成長とその後背地の拡大・発展との非対称性と部分的な相互作用、貿易港に置かれる倉庫問題等の新たな課題が認知され、今後の研究方向が明らかにされた。
平成22年度の研究会
  1. 京都大学東南アジア研究所 共同利用・共同研究拠点「東南アジア史における交易網と中継港の役割」
    京都大学グローバルCOEプログラム「生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点」イニシアティブ1「環境・技術・制度の長期ダイナミクス」
  2. 開催日:平成23年2月27日(日曜日) 9:30~17:30
  3. 場所:京都大学東南アジア研究所2F 東南亭
  4. プログラム:
    9:30~10:50
  5.  今年度の報告と来年度の打合せ
  6. 11:00~12:30
  7.  研究報告 西村雄志(松山大学) 
  8.  「金為替本位制移行期におけるシンガポール商業会議所の役割(仮)」 
     コメント  川村朋貴(富山大学)
     コメント  村上衛(横浜国立大学)
  9. 12:30~13:40
  10.  ランチミーティング
  11. 13:40~15:10
     研究報告 太田淳(台湾中央研究院) 
  12.  「19世紀中葉、蘭領東インド外島部における非植民地産品の貿易(仮)」 
     コメント  川村朋貴(富山大学)
     コメント  小林篤史(京都大学・院)
    休憩(20分)
  13. 15:30~17:00
     研究報告 宮田敏之(東京外国語大学) 
  14.  「19世紀末から20世初頭にかけての東南アジア域内貿易:バンコク‐シンガポール貿易とバンコク‐香港貿易の再検証」  コメント 久末亮一(政策研究大学大学院)
     コメント 島田竜登(西南学院大学)
  15. 17:00~17:30
     総合討論 
  1. 京都大学東南アジア研究所 共同利用・共同研究拠点「東南アジア史における交易網と中継港の役割」 京都大学グローバルCOEプログラム「生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点」イニシアティブ1「環境・技術・制度の長期ダイナミクス」 第1回合同研究会
  2. 開催日:平成22年12月19日(日曜日) 11:00~17:30
  3. 場所:京都大学東南アジア研究所2F 東南亭
  4. プログラム:
    11:00-11:10
     趣旨説明 川村朋貴(富山大学)
    11:10~12:40
     研究報告Ⅰ 川村朋貴(同上) 「19世紀初頭の東南アジア域内貿易:ペナン、シンガポールを中心に」(仮)
     コメント  宮田敏之(東京外国語大学)
     コメント  島田竜登(西南学院大学)
    12:40~13:40
     昼食
    13:40~15:10
     研究報告Ⅱ 久末亮一(政策研究大学大学院) 「「帝国の時代」における香港とシンガポール- 二つの経済的要衝:その連動と分岐から見る経済圏 -」
      コメント  太田淳(台湾中央研究院)
      コメント  村上衛(横浜国立大学)
    休憩(10分)
    15:20~16:50
     研究報告Ⅲ 柿崎一郎(横浜市立大学) 「東南アジア大陸部の外港~後背地関係の研究の可能性」(仮)
     コメント  西村雄志(松山大学)
     コメント  神田さやこ(慶応大学)
    16:50~17:30
     総合討論
    *研究会終了後、近くで懇親会を開きますので、ぜひご参加ください。
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