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Center forSoutheast Asian Studies Kyoto University

共同利用・共同研究拠点

共同研究 (タイプIV: 萌芽型)

「東南アジア海域の社会動態に関する基礎研究―海民の人口移動と生成過程を中心に」

研究代表者:長津 一史 (東洋大学・社会学部)
(実施期間:平成21年度~平成22年度)

研究概要

本研究は,京都大学東南アジア研究所(CSEAS)と協力して、①インドネシア、マレーシア、フィリピンを中心とする東南アジア海域の時空間情報(地図画像・一次的な歴史資料等)を収集・整理・データベース化し、②同海域における海民の人口移動と民族生成に着目した『東南アジア海域の社会動態に関する基礎資料集成』(英文)を作成し、③それらの資料に基づいて海民の社会動態に関する論考をまとめようとするものである。

研究目的・意義・期待される効果

ハタを採捕するサマ・バジャウ漁民
(インドネシア・東ジャワ州カンゲアン諸島、2008 年3 月)

ハタの品質検査をする華人の仲買人
(インドネシア・バリ、2008 年8 月)

【目的と意義】
 本研究は、東南アジア海域を対象としたCSEAS 所蔵の一次資料、電子版センサス、GIS データ、フィールドデータ等を、同海域に関する原資料として整理、統合し、その成果として、時空間情報データベースおよび『東南アジア海域の社会動態に関する基礎資料集成』を作成することを目的としている。同資料集成には、人口に関する基本情報のほか、資源利用、言語、起源神話、物質文化等に関する情報も含まれる。こうした情報資料集の作成と公開は、東南アジア海域の社会動態に関する研究を進展させるのみならず、この海域に関するディシプリン横断的な研究の創出をも導きうる。
【期待される成果】
CSEAS が所蔵する島嶼部東南アジアの空間情報資料(地図等)などの既存資料が、2000 年以降の電子資料(特にセンサスとGIS)とあわせて整理され、研究資源化される。また、時間と空間の双方の面での東南アジア海域研究に関わる情報が、海民の人口移動と民族生成というテーマのもとで接合され、データベースや『基礎資料集成』において提示されることになる。代表者とメンバーは、上記のような多元的な資料に基づいて、東南アジア海域の社会動態に関する論文を個別にまとめていく。それらの論考は、東南アジア海域を海民を主要アクターとして生成してきたひとつの社会空間として捉えなおし、その歴史過程を具体的かつ全体的に把握しようとする地域研究の試みにもなるだろう。
研究成果概要
本年度のほぼすべての期間、代表者はインドネシアに滞在していた。そのため、年度末の研究会を除き、主な研究活動はすべて同国で実施された。12月までには、インドネシア国土地理院(BAKOSURTANAL)において「GISによる海民社会の動態的把握」を主題とする会合を2回、研究会を1回開催した。他に、インドネシア科学院(LIPI)、スラバヤ工科大学(ITS)等、多数の研究機関で同様の会合を持った。ディポネゴロ大学(UNDIP)では、「海民の生成過程」に関する研究会を開催し、報告を行った。1月にハサヌディン大学で実施された第7回京都大学東南アジアフォーラムでは、これらの会合等を基に「ヌサンタラの系譜学(Genealogies of Nusantara)」セッションを組織し成果を発表した。
 『基礎資料集成』は暫定版を作成するにとどまったが、次年度半ばまでには完成版を公開しうる段階にある。個別の成果のいくつかは研究期間内に公刊された。代表者は、海民の人口動態に関する論考3本を公表し、サマ人を含む東南アジア周縁世界の開発過程を論じた編著作を出版した。昨年度末の国際セミナーの成果は、『白山人類学』13号の<特集>にまとめられている。
平成21-22年度の研究会
  1. 研究会名:「東南アジアの海とひと」第3回研究会
  2. 開催日:2009年7月24日(金)11:00-17:30
  3. 場所:東洋大学5号館5501教室
  4. 発表者および課題:
  5. 11:00-12:00  趣旨説明/(長津一史・東洋大学)研究構想の紹介(各参加者)
  6. 13:00-14:00  立本成文(総合地球環境学研究所)/「海域研究の軌跡と展望」
  7. 14:00-17:30  研究構想発表/赤嶺淳(名古屋市立大学)/「サマ語研究からサマ研究へー地域研究としての言語研究の展望」/河野元子(政策研究大学院大学)/「東南アジアの海をめぐる国家と社会」/長津一史(東洋大学) /「海民の地域間比較への展望―移動と民族生成を手がかりに」
  8. コメント  秋道智彌(総合地球環境学研究所)/田中耕司(京都大学)/金柄徹(亜細亜大学)
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