京都大学東南アジア研究所ナビゲーションをスキップしてコンテンツへ 日本語 | English
サイトマップ | ローカルページ
Center forSoutheast Asian Studies Kyoto University

共同利用・共同研究拠点

共同研究 (タイプIV: 萌芽型)

「東南アジアにおける土地利用の比較研究」
研究代表者:梅崎 昌裕(東京大学・大学院医学系研究科)
(実施期間:平成21年度~平成22年度)

研究概要

本研究プロジェクトは、めざましい発展を遂げつつある空間情報科学の最新技術を応用することによって、地域研究に適した土地被覆・土地利用・資源利用分析の方法論を確立することを目的とする。その目的を達成するために、タイ、ベトナム、ラオス、中国、インドネシア、パプアニューギニアにおいて空間利用分析の調査実績をもつメンバーによってプロジェクトを組織し、東南アジアのさまざまな地域における土地利用・土地被覆・資源利用の動態とそこにかかわる政治・社会・生態要因の整理をおこなう。

研究目的・意義・期待される効果

雲南省ハニ族の棚田。水田のなかに養魚池が掘られている。

バニラの受粉。パプアニューギニア・セピック地方では、バニラ栽培が新たな現金収入源となっている。

開発と環境保全にかかわる地域研究において、空間利用分析の重要性は古くから指摘されてきたものの十分な成果はあげられていない。東南アジア各国における人口急増により人間-環境系の持続が危機に瀕している現在、人間活動による土地利用・土地被覆への影響を詳細に解明することは急務といえよう。研究が立ち遅れている主たる理由は、フィールドワークに基づく小集団での詳細なデータがあるにもかかわらず、それを広域に敷衍する、あるいは一般化する方法論が欠如していたためである。本申請課題の目的は、めざましい発展を遂げつつある空間情報科学の最新技術を応用することによって、地域研究に適した土地被覆・土地利用・資源利用分析の方法論を確立するとともに、東南アジアのさまざまな地域における土地利用・土地被覆・資源利用の動態とそこにかかわる政治・社会・生態要因の整理をおこなうことである。

この目的を達成するために、タイ、ベトナム、ラオス、中国、インドネシア、パプアニューギニアにおいて空間利用分析の調査実績をもつ研究グループを組織した。それぞれの研究者レベルで人類学と空間情報科学のデータを融合させることによって、具体的には、土地利用・土地被覆を手がかりにした人間活動の理解という領域に踏み込むことができると考えている。

本申請課題に期待される成果は、空間情報科学の最新技術を地域研究者による空間利用分析に応用することによって、集団レベルの土地利用・土地被覆、さらには資源利用を明らかにするための新しい方法論を確立し、東南アジアにおける人間-環境系モデルを構築することにある。それぞれのメンバーがこれまで独自に確立させてきた方法論を比較検討することによって、東南アジアのさまざまな社会自然環境条件における人間の行動と土地利用・資源利用のダイナミズムを整理することが可能となると考えている。

研究成果概要
2010年10月11日~18日に、バングラデシュ国において京都大学東南アジア研究所・公募共同研究「東南アジアにおける土地利用の比較研究」にかかわる現地調査を実施した。この現地調査では、昨年より整理をすすめてきた地域研究者に有用な空間情報科学の調査手法を検証したほか、バングラデシュの土地利用についての議論をおこなった。2011年1月~3月にかけては、東南アジアにおける土地利用にかかわるケーススタディーをデータベースとして整理する作業をすすめた。その成果について議論するために、2011年3月29-31日にかけて、「空間情報科学の地域研究および国際保健学への応用」と題したワークショップを熱海市において開催する。本共同研究によって、地域研究者にとって有用な空間情報科学技術の評価がおこなわれ、それぞれの研究メンバーが、インドネシア、パプアニューギニア、ラオス、タイにおいて実施した土地利用研究の検討により、それにかかわる政治・社会・生態要因の整理をおこなうことができた。