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Center forSoutheast Asian Studies Kyoto University

共同利用・共同研究拠点

共同研究 (タイプⅣ: 萌芽型)

「東南アジア地方自治論の構築――タイ、フィリピン、インドネシアの自治体サーヴェイを基に」
研究代表者: 西村 謙一(大阪大学・国際教育交流センター・准教授)
(実施期間:平成23年度~平成24年度)

研究概要

本研究は、タイ、フィリピン、インドネシア3カ国で実施する地方自治体サーヴェイ調査で収集するデータをもとに、東南アジアにおける地方自治論を構築するのが目的である。

 平成24年度は、フィリピンとインドネシアで平成23年度に実施した調査結果について、データ・クリーニング作業を行ったうえで SPSSによるデータ分析を行う。タイについては、自治体サンプリングと質問票の作成を経て調査を8月・9月に実施し、同様にデータ分析を行うとともに、3カ国比較分析のための諸変数を設定する。また、各国についてデータ解釈のため、現地で補足調査を行う。

研究目的・意義・期待される効果

「2012 International Conference UP-NCPAG@60(2012年6月、マニラにて開催)でフィリピンの地方自治について報告する西村准教授」

「2012 International Conference UP-NCPAG@60(2012年6月、マニラにて開催)でフィリピンの地方自治について報告する小林准教授」

「明治大学で開催された勉強会(2012年7月26日)の模様」

本研究は、上記3カ国において、地方政府の自律性と住民参加の関係が地方自治ガバナンスの質にどのような影響を与えているのか、その要因、パターン、制約条件の抽出を目的とする。具体的には、科研基盤研究A(海外学術)「東南アジアにおける地方自治サーヴェイ調査―タイ、インドネシア、フィリピンの比較」(研究代表者:永井史男)で平成23年から平成24年にかけて実施される社会科学的な大規模調査で得られるデータを使い、社会調査法と統計学の方法論に従って、地方自治パフォーマンスに影響を与える地方政府の自律性と住民参加のあり方を規定する要因について分析を行う。

従来の東南アジアにおける地方自治や地方分権の研究は、もっぱら公式の制度を静態的に分析する研究や、特定の自治体に絞ったモノグラフ的な研究が多かった。公式制度の理解は重要だが、自治体のパフォーマンスはそれだけでは決まらない。また、特定の自治体研究はそれ自体としては一般性に欠ける。本研究は、大規模な自治体サーヴェイ調査を実施することで、上記の問題を克服する試みである。こうした研究はフィリピンとインドネシアでは初めて、タイでは2回目の試みであり、3カ国比較という点でも大きな研究上の意義を有する。

期待される主な成果は、(1) 3カ国それぞれにおける住民参加の際立った特徴と共通点、(2)3カ国における地方政府の組織的自律性の異同、(3)3カ国における地方政府の自律性と住民参加の関係にみられる特質、などを統計学的に提示することである。