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Center forSoutheast Asian Studies Kyoto University

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過去のセミナー案内:20年度

2008年11月

生存基盤科学研究ユニット京滋フィールドステーション事業第6回研究会
下記のとおり、京都大学東南アジア研究所が担当する京都大学生存基盤科学研究ユニット京滋フィールドステーション事業(滋賀サイト型機動研究「在地と都市がつくる循環型社会再生のための実践型地域研究」)の発表を開催致しますので、興味のある方はご参加ください。
出席される方は、会場のスペースの関係もありますので、11/26(水)までに世話役を行なっている鈴木玲治rsuzuki@cseas.kyoto-u.ac.jpへメールでご連絡ください。よろしくお願いいたします
  1. 日 時:2008年11月28日(金)16:00~19:00
  2. 場 所:守山フィールドステーション(滋賀県守山市梅田町12-32、守山駅から歩いて5分です)
  3. プログラム:
    1.発表
    発表者:矢嶋 吉司(生存基盤科学研究ユニット 研究員)
    発表題目:行政と住民による日本の地域振興 ―バングラデシュ農村開発研修員の研修に同行して―
    内容:文化・伝統を再認識する地域振興、過疎・高齢化・限界集落と問題軽減の試み、など行政と住民による地域振興事例の紹介
    2.これまでの活動報告と今後の計画
    3.その他
  4. コーディネーター: 鈴木 玲治(rsuzuki@cseas.kyoto-u.ac.jp)
第39回「東南アジアの社会と文化研究会」
「東南アジアの社会と文化研究会」を、以下のとおり開催いたします。オープンな研究会ですので、ふるってご参集くださいますようお願いいたします。
  1. 日 時:2008年11月21日(金)16:00 - 18:00
  2. 場 所:
    京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
    総合研究2号館(旧・工学部 4号館)4階 会議室(AA447)
    http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/about/access.html
  3. 話題提供者:多和田裕司氏(大阪市立大学大学院文学研究科教授)
  4. 演 題:現代マレーシアにおける「イスラーム化」―イスラームの制度化という視点から―
  5. 要 旨:
    1980年代以降、マレーシアでは「イスラーム化」と名付けることができるようなイスラームへの指向性が高まっている。本報告では、イスラームをめぐる制度に着目することによってマレーシアの「イスラーム化」について考えてみたい。制度に着目するのは、次のような点で「イスラーム化」という文化的社会的変化のある局面をとらえることができると思われるからである。
    ひとつは「イスラーム化」の強制力をともなった拡大という点である。文化それ自体に人々の行動を拘束する力が内在されていることは言うまでもないが、ひとたびそれが制度化されると、その力は社会的強制力として具体化される。それがさらに文化的実践に影響することで、文化がそれ以前のものからは微妙にずれた形へと変化する。「イスラーム化」とは、文化とその制度化との連続的な累積的変化としてとらえることができるのではないだろうか。
    ふたつ目は、イスラームが制度化されるさいに現れる相対化という点である。制度化とは個別、具体的な場において形をなすものであることから、制度化の過程においてイスラームはイスラーム以外の何ものかと対峙せざるをえない。それゆえに「イスラーム化」が制度を通して実現されるものであるかぎりにおいて、それは常に相対化されながら展開されていくはずである。
    本報告は、できるかぎり具体的な事例のなかに「イスラーム化」のこのような局面を読み取ろうとする試みである。
    http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kenkyuukatsudou/syakai-bunka/index.html
  6. 備 考:
    事前の参加予約は必要ありません。
    当日は、資料代として 200円をいただきます。
  7. 研究会世話人/事務局:
    杉島敬志 (京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
    林  行夫 (京都大学地域研究統合情報センター)
    速水洋子 (京都大学東南アジア研究所)
    伊藤正子 (京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
    王 柳蘭  (京都大学大学院・アジアアフリカ地域研究研究科)
  8. お問い合わせ先:itomasak@asafas.kyoto-u.ac.jp
G-COEイニシアティブ1研究会
  1. 日 時:2008年11月20日(木) 16:00~18:00
  2. 場 所:総合研究棟4階大会議室(447号)
  3. 報 告:
    1.小杉泰「イスラーム経済を考える--比較文明論および生態基盤論から」
    2.長岡慎介「現代イスラーム金融の理念と現実--普遍化と独自化をめぐるダイナミズム」
  4. コーディネーター:
    藤田幸一(CSEAS)
第13回G-COEパラダイム研究会 「モンスーンアジアの気候生態史観」
来る11月17日(月)に東南アジア研究所OBの安成哲三先生を講師としてお招きして,第13回G-COEパラダイム研究会を開催します.
今回も会場がいつもの東南アジア研究所ではなく,吉田地区の総合研究2号館となっておりますのでお間違え無きようお願いします.
  1. 日 時:2008年11月17日(月)16:00-18:30(19:00から懇親会を予定)
  2. 場 所:
    京都大学吉田地区 総合研究2号館 AA447
    http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_y.htm)
  3. 講 師:
    名古屋大学 地球水循環研究センター 安成哲三先生
    同       地球生命圏研究機構
    「モンスーンは森を創り、森はモンスーンを維持する
    そして人は森もモンスーンも変えていく?
    -ユーラシア大陸における気候・生態系相互作用とその変化-」
  4. コメンテーター:聖泉大学(京都大学名誉教授) 高谷好一先生
  5. コメンテーター:総合地球環境学研究所 酒井章子先生
  6. これまでに開催されたパラダイム研究会は以下を参照にしてください.
    http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/staticpages/index.php/paradaigm_list
  7. [安成先生要旨]
    モンスーンは森を創り、森はモンスーンを維持する 
    そして人は森もモンスーンも変えていく?
    -ユーラシア大陸における気候・生態系相互作用とその変化-
  8. 安成哲三
    名古屋大学地球水循環研究センター
    同 地球生命圏研究機構
    古典的な生物地理学では、ケッペンの植生気候区分にみられるように、気候が植生を決めるというパラダイムがあった。しかし、私たちのユーラシアやモンスーンアジアにおける最近の観測・調査と気候モデルによる研究は、気候と植生が強い相互作用をもった共生系を形成していることが分かってきた。見方を変えれば、地球環境の真の理解には、これまで水と油のように世界を別にしていた物理学・化学と生物学(生態学)を止揚した新たな「地球学」が必要であることを指摘する。この発表では、このような気候・生態系相互作用の最近の研究をまず報告する。その上で、アジアモンスーン地域がなぜ世界でも有数の生物多様性を有する地域として存在しているかの考察を、いくつかの異なる特性をもつ気候・生態系の(氷期・間氷期のような)地球規模の変化に伴う時間発展(進化)という視点から行う。さらに、このような異なる特性の気候・生態系と人間活動の相互作用が、モンスーンアジアの風土、あるいは「世界単位」(高谷,1993; 1997他)の形成に対し、どのような意味をもっているかについての考察(あるいはホラ話?)も試みる。
  9. 参考文献
    1, 安成哲三,2007:地域・大陸スケールでの植生・気候相互作用,天気54,929-932
     http://ci.nii.ac.jp/naid/110006474666/
     (上のリンクの本文を読む・探す CiNii PDFからダウンロードできます)
    2, 高谷好一, 1993:新世界秩序を求めて 中公新書1110
    3, 高谷好一, 1997:多文明世界の構図 中公新書1339
  10. コーディネーター:甲山 治
京都大学気象学・東南アジア研究所公募共同研究「巨大災害に対する民衆の知恵」合同コロキウム
  1. 日 時:2008年11月14日(金) 16:30-18:00
  2. 場 所:京都大学理学部6号館201号室
  3. 講演者:Laitpharlang Cajee 氏 (North-Eastern Hill University, India)
  4. タイトル:Post Monsoon Cyclonic disturbance in Bay of Bengal- A case study of Sdir -
  5. 報告要旨:
    The Indian sub-continent is a land with unique climatic regime with two cyclonic seasons that is pre and post monsoon disturbances. Atmospheric depressions at local scale generate tropical cyclones in the post - monsoon season in the Bay of Bengal which moves from sea surface to land mass and create havoc for human being. Their intensity and pattern vary individually. After monitoring hourly the weather parameters of Sidr cyclone of 15th November 2007 which created severe atmospheric disturbance and weather variability in the Bangladesh plains and hills of Meghalaya plateau, it is found a noticeable depression of cool air masses in the starting phase of cyclone which created atmospheric disturbance for a shorter time. As a result, physchrometric index falls slightly with significantly higher thermal efficiency values in the starting phase of cyclone which invites speedy wind with heavy rains in its last phase. Two-peaked pattern of diurnal rainfall was observed in the Cherripunji area and near surroundings which is the active path of cyclone on windward slopes. On the other hand, leeward areas of the plateau were experienced one-peaked pattern of diurnal rainfall with its less intensity.
  6. Keywords:Atmospheric depressions, cyclonic storm, psychrometric index, rainfall intensity, saturation vapour pressure, weather variability pattern
  7. コーディネーター:安藤 和雄(CSEAS)
G-COEイニシアティブ4研究会
下記の通り、イニシアティブ4研究会を実施します。今回は松村圭一郎さん(京都大学人間・環境学研究科助教)より、開発援助と地域社会の生存基盤というトピックでお話を頂きます。奮ってご参加ください。
  1. 日 時:2008年11月14日(金)16:30~18:00
  2. 場 所:京都大学本部キャンパス総合研究2号館4階A447会議室
  3. 報告者:松村圭一郎(京都大学人間・環境学研究科助教)
  4. タイトル:生存を支える地域/社会の再編成-ザンビア南部州における食糧援助の事例から
  5. 報告要旨:
    市場経済の拡大やグローバル化のなかで、アフリカの農村社会においても、人びとの生存を支える「地域/社会」は再編の過程にある。本発表では、政府や国際機関、NGOなど、さまざまな組織が関与して実施されているザンビアの食糧援助体制について報告する。旱魃や洪水といった災害への緊急対応としての食糧援助が、どのような制度として設計されているのか。そして、それがいかに実施され、どう受容されているのか。ザンビア南部州・シナゾングウェ地区の事例をもとに、人びとの生存を支える地域/社会が、多様なアクターの関与する場として再編成されていることを示し、生存基盤としての「地域」をどう理解したらよいのか考察する。
  6. コーディネーター:西 真如
G-COEイニシアティブ3研究会
  1. 日 時:2008年11月13日木)17:00-18:30
  2. 場 所:東南アジア研究所 東棟1階会議室
  3. 議 題:
    リアウサイトRiau Biosphere Reserve Project の説明と参画に関する議論
    1)Sinarmas Forestry のスライド説明(小林祥子)
    "PROPOSED GIAM SIAK KECIL BUKIT BATU BIOSPHERE RESERVE RIAU, SUMATRA"
    2)提案事項に関する説明(林 隆久)
  4. Riau Biosphere Reserveについて
    インドネシアスマトラ島リアウ州にある天然林・観光林それにSinarMas社の産業人工林が複合した領域(70万ha)が、現在"UNESCO Wild Life Reserve"として申請されています。ここで、イニシアティブ3のメンバーによる文理融合研究展開を計画します。この研究は、インドネシア科学院(LIPI)、林業省(Dept of Forestry)、リアウ大学、R&D Sinarmas とともに行う共同事業となります。
  5. コーディネーター:林 隆久
第23回 映像なんでも観る会  映画『ペルセポリス』上映
  1. 日 時:2008年11月12日(水) 17:00~
  2. 場 所:
    総合研究2号館(旧工学部4号館)4階東側・大会議室(AA447)
    http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/about/access.html
  3. 今回は『ペルセポリス』を上映します。この作品はイラン出身の漫画家マルジャン・サトラピの半自伝的ベストセラー作品をもとに制作したアニメ映画です。イラン革命に影響を受け、海外で教育を受け、再びイランに戻る少女が成長する様子をモノクロのアニメで活々と、ユーモラスに描いています。2007年カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品審査員賞を受賞しました。
    一方、この作品は、内容が反イスラム的であるとして、イランやレバノンなどで上映が制限されました。現在フランス在住のサトラピ監督が革命批判とも解釈ができる作品を制作したことに対しては、イラン国内だけではなく、在米イラン知識人のあいだで強い批判があるようです。この作品の上映会を通じて、「西洋の価値観に同化したエリート亡命知識人」がイラン革命批判をしている、という反批判が提起している問題などについて考えたいと思います。上映後には、イラン現代文学がご専門の藤元優子先生(大阪大学)をお招きし、作品の解説をしていただきます。ぜひお越しください!
  4. 原作・監督・脚本:マルジャン・サトラピ
  5. 共同監督・共同脚本:ヴァンサン・パロノー
  6. 上映時間:95分
  7. 言語: 英語
  8. 字幕:日本語
  9. 公式サイト:http://persepolis-movie.jp/
  10. 関連サイト:
    http://www.afpbb.com/article/entertainment/movie/2351151/2644942
    http://www.afpbb.com/article/1623130
    http://www.afpbb.com/article/entertainment/movie/2370199/2778738
    http://www.varietyjapan.com/news/movie/2k1u7d0000008t93.html
  11. コーディネーター:
    北村 由美(CSEAS)
「アジア諸地域の水利社会」懇話
東南アジア研究所とグローバルCOEプログラム「生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点」イニシアティブ2「人と自然の共生研究」班の共催で、日本大学名誉教授の岡本雅美先生をお招きして「アジア諸地域の水利社会」と題する懇話会を開催します。
  1. 日 時:2008年11月12日(水)15:00 - 18:00
  2. 場 所: 東南アジア研究所 共同棟4階セミナー室
    岡本先生は、水利調整がご専門で、『水利の開発と調整-その地域的研究』(時潮社、上巻は1978年、下巻は1980年)、『利根川の水利』(新沢嘉芽統先生と共著)(岩波書店、1988年)などのご著書があります。一貫して実学を追及する研究姿勢をとってこられ、『利根川の水利』は、研究書という体裁をとっていますが、内容的には建設省(当時)に対して首都圏での渇水を最小限に抑制するための河川管理対策を具体的に提言されたものです。
    国際協力機構や世界銀行の要請で、東南アジア、南アジアや中近東においても、利水管理や国際河川の水利調整に関して多くの仕事をされてきました。しかし岡本先生は、海外での仕事は恐々だったと言われます。それぞれの河川には地域性があり、流域社会の歴史的、社会経済的背景を十分に理解しないまま、河川管理の処方箋を書かなければならなかったからです。そこで懇話会では、岡本先生が水利調整の仕事を通じて理解されたアジア諸地域の水利社会を私たち地域研究者にぶつけていただいて、岡本先生の理解の的確さ/不的確さを確認するとともに、水に関する技術と社会の関係性や実践知について議論したいと思います。
  3. みなさまのご参加をお待ちしています。また、懇話会終了後に懇親会をもちますので、こちらにもぜひご参加ください。
  4. 問い合わせ先:河野泰之(kono@cseas.kyoto-u.ac.jp)
基盤S「越境する感染症」講演会
基盤S「越境する感染症」講演会のお知らせです。
Prof. Dr. Balbir Singh による講演会を予定しております。
  1. 日 時:2008年11月10日(月)14:00-
  2. 場 所:
    稲盛財団記念館3階中会議室(川端通り沿いの新棟になります)
    変更の折には、再度、ご連絡させていただきます。
    Balbir先生には、11/8の日本細菌学会関西支部総会でも発表をしていただきますが、11/8のご発表とは違った切り口での発表をしていただけると思います。
    マラリア、感染症、サイエンスの深い知識がなくても、ご理解いただけるものと思っております。
    Balbir 先生は、マレーシア・サラワク州のUNIMASのMalaria Research Centerのdirector で、現地で重要な感染症であるマラリアの分子遺伝学的な研究から、通常マラリアと診断される病気の中でも、現在知られている種類よりも多くのタイプが存在しているということを、現地で人や猿などから血液サンプルを得て、精力的に研究をすすめられています。
    以下は、Medical Science の分野で有名なジャーナルに発表された研究のアブストラクトです。
    http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15051281?ordinalpos=16& itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum
  3. 要 旨:
    Malaria, Monkeys, Man & Malaysia
    Balbir Singh.
    Malaria Research Centre, Faculty of Medicine & Health Sciences, University Malaysia Sarawak, Kuching, Sarawak, Malaysia.
    Plasmodium knowlesi in now recognized as the fifth species of Plasmodium causing human malaria in Southeast Asia. The lecture will begin with a description of the work that lead to the discovery of a large number of human P. knowlesi infections in the Kapit Division of Sarawak in Malaysian Borneo. This will be followed by a brief history of this parasite, from its initial isolation in 1931 from a long-tailed macaque to the first description of a naturally acquired human case of knowlesi malaria in 1965. Studies to determine whether monkeys are the reservoir hosts, which part of the human population are at risk and what is the mosquito vector responsible for transmission of P. knowlesi in the Kapit Division will then be described. The lecture will end with details of recent studies that have shown that knowlesi mala ria is widely distributed in Southeast Asian countries, with the majority of human cases described so far occurring in Malaysian Borneo.
  4. 問い合わせ先:中口 義次(CSEAS)
国際経済史協会記念シンポジウム
国際経済史協会の理事会の日本での開催を記念して、11月8-9日に稲盛新棟で、経済史の国際シンポジウムを開催いたします。グローバルと阪大の科研A(グローバル・ヒストリー)との共催です。
仮プログラムを添付いたします。関心のある方はぜひご参加ください。参加者には、これからペーパーがつき次第、お送りします。ペーパーの送付やコーヒー、懇親会の連絡などがありますので、参加される方はできるだけ事前に杉原までご連絡いただきたく存じます。なお、全体の参加者を60名程度と想定していますので、グローバルCOE以外の研究者の招待につきましては、あらかじめ杉原までご相談ください。
  1. 日 時:2008年11月8日(土)-9(日)16:00 - 18:00
  2. 場 所: 京都大学稲盛財団記念館会議室 (Map
  3. プログラム:PDF (2008/10/27 Up)
  4. 杉原 薫(グローバルCOE拠点リーダー), 秋田 茂(科研研究代表者)
  5. 問い合わせ先:
    杉原 薫
    TEL&FAX 075-753-7311、e-mail: sugihara@cseas.kyoto-u.ac.jp
G-COE特別パラダイム研究会
  1. 日 時:2008年11月4日(火) 17:00-19:00 (その後懇親会あり)
  2. 場 所:
    吉田地区 総合研究2号館 AA447
    http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_y.htm
  3. 講 師:東京大学サステナビリティー学連携研究機構 住明正
  4. 講演タイトル:「気象気候予測の可能性と限界」
  5. コメンテーター:
    京都大学地球環境学堂地球環境政策論分野 松下和夫
    京都大学人文科学研究所 田辺明生
    2007年に発表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)4次報告はそれまで長年議論されてきた地球温暖化問題について議論を収束させたといわれる。その成果によりアル・ゴアと共にノーベル平和賞も受賞している。そこで突きつけられた現実は人類及びこれから成長しようとする途上国にとっては大変厳しいものであった。これまで制度や社会のグローバル化の諸問題を抱えてきた熱帯地域に、さらに自然環境のグローバル対応が求められることになる。温暖化の問題を海面上昇による土地の減少と温暖化による生産性の減少という形で直接受けるのは熱帯地域である。だからと言ってこれまで温帯の論理で問題を悪化させてきた我々がツケを熱帯地域に負わせることは許されない。今後の地域研究は人々を取り巻く様々な環境要素からなる「生存圏」の発想を加えて進めなければならない。
    本研究会では、気象気候予測の可能性と限界についての話題を提供し、将来の人々の生存と持続的経済発展の基盤を維持するための気象予測のあり方と影響を受ける人々の社会について議論したい
  6. 住明正要旨:
    気象・気候予測の可能性と限界 住 明正(東大IR3S/TIGS)
    (1)「かって、将来の予測は神の業であった」と昔、書いたことがあります。実際、予言や神託という言葉が、宗教には、数多く見られます。人間が知りたい未来の中で、天候が大きな位置を占めていたというのは、人間が自然環境の中で生活せざるを得ない以上、当然のことと思います。
    (2)この「神の業」を、科学にしようとしたのが、Richardsonの試みです。文字通り、物理的な法則性に基づいて将来を予測しようとする、大胆な試みです。彼の書いた本を読むと、手計算で数値積分が行えるように定式化が行われています。4年間をかけて計算するなど、彼の努力のすざましさが分かります。
    (3)このような予測の確からしさは、昔から、問題になっています。天気予報などでは、現実がすぐに分かるために、「当たる、当たらない」で評価されてきました。つまり、現実で検証したわけです。この「予測と観測による検証」というプロセスは、実験による検証が不可能な地球科学では、ひとつのパラダイムになっています。
    (4)数値予報が天気予報の業務に導入されるについて、「予測可能性」の研究が行われました。しかし、今研究は、なかなかと進展しませんでした。なぜかといえば、その背景となる理論が存在しないからです。天気予報は、常に、日食、月食の予測と対比させられてきました。「むこうは、何年も先の予測ができるのにどうして?」というわけです。このような研究の中で、線形系に対する非線形系の振る舞いが取り上げられ、Lorentzのカオスが出てきます。ただ、カオスは、気象の世界では、大きな注目を集めなかったように思います。その理由は、やはり、「将来を当てる」ことを中心に考えているからと思います。
    (5)天気予報の分野では、数値予報が完全でないことは自明ですので、それをどのように修正して応用するか?という研究が行われています。予測の限界の理論的解明ということは、あまり、行われていないのが真実です。
    (6)結局のところ、予測の可能性に関しては、実際のデータに基づく経験的な議論になっていると思います。実際、予測可能性は一義的に決まるわけではなく、予測する量の定義によって変化するので注意が必要です。
    (7)予測可能性を拡張する試みのひとつは、可能性を別のところに求めることです。その一例は、エルニーニョなどの大気海洋結合モデルを用いた年々変動の予測です。その予測可能性の担保は、熱帯地方の大気海洋系のダイナミクスに求められます。現実の気候システムでは、様々な時間スケールの変動が存在します。ですから、より長期の変動モードに着目すれば、微小時間という範囲でも、現実には、予測時間が延びることになります。
    (8)地球温暖化に関しても、大気組成によって温度構造がどう決まるか?ということから問題が出発しています。これが、有名な、Manabeさんの1次元放射対流平衡モデルです。ですから、地球温暖化の問題は、最初は、平衡の問題として定義されていたのです。従来の数値積分による温暖化のシミュレーションも、3次元の平衡問題を解く過程と考えるのが妥当だと思います。
    (9)これを、transient、時間発展の問題として考えるようになったのは、最近のことです。その背景は、温暖化問題が現実の政治プロセスとなり、具体的な時間軸が重要になってきたからです。初めて、IPCCの第4次報告書で、その可能性が提起されてきました。現在では、季節予報から、30年予測までのシームレス予測ということが言われています。
    (10)結局、ここでは、外力による強制応答と、システム固有の自由モードの表現可能性によるとされています。平衡応答が可能と考えているのは、長期に時間積分することによって自由モードの寄与が小さく出来ると考えているからです。ところが、過渡応答を考えると、自由モードの表現が初期値に依存すると考えられるので、その再現可能性が問題になるわけです。
    (11)モデルを用いた、もうひとつの特徴は、4次元データ同化システム(4DDA)というコンセプトを提案したことです。時空間に散在したデータを、法則性にのって解析するという手法は、自然科学の分野に新たな光を持ち込んだと思います。
  7. コーディネーター:篠原真毅 (生存圏研究所)
シンポジウム「生のつながりへの想像力:再生産再考」
シンポジウム「生のつながりへの想像力:再生産再考」を下記のとおり実施します。生物学的な「生殖」の視点では捉えきれない、そして従来の人類学的な「親族」論の枠組みでも扱いきれないような、社会「再生産」の問題群(新生殖医療、国際結婚、同性愛家族、少子高齢化)を取り上げ、人々の生のあり方を次世代へと継承してゆく「関係性」(relatedness)という視点から捉え直そうとする、刺激的な内容のシンポジウムです。ふるってご参加頂きますよう、よろしくお願いします。
  1. 日 時:2008年11月4日(火)11:00 -17:00
  2. 場 所:京都大学本部キャンパス人文科学研究所本館(新館、旧工学部5号館)4館大会議室
  3. 主 催:G-COEイニシアティブ4 ・人文科学研究所「生の人類学」
  4. プログラム:
    11:00-11:20 趣旨説明:速水洋子(京都大学)
    11:20-12:05 宇田川妙子(国立民族学博物館)
    「人の断片化か、新たな関係性か:イタリアの生殖技術論争の事例から 」
    12:05-12:50 砂川秀樹(実践女子大学)
    「同性愛者のパートナーシップと家族、次世代への継承」
    12:50-14:00 昼食(大文字部屋)
    14:00-14:45 工藤正子(東京大学)
    「国際結婚にみる「つながり」の形成:パキスタン人移住労働者と結婚した日本人女性たちの事例から」
    14:45-15:30 鈴木七美(国立民族学博物館)
    「次世代コミュニティ・デザイン:ケア・教育をめぐるオルタナティブ思想・実践から考える」
    15:30-15:45 休憩
    15:45-16:15 コメント:椎野若菜(東京外国語大学)、田中雅一〈京都大学〉
    16:15-17:00 総合討論
  5. シンポジウムの趣旨:
    「再生産」は「生物学的」再生産としての生殖に関わるものから、経済学的には物質的財の継続的生産・分配・消費、労働力の再生産、そして社会システムや文化的再生産まで、ディシプリンによって大きく異なる問題系に含まれ、それゆえに曖昧な概念です。また、人類学やフェミニズムにおいては再生産を生産と対置させる文脈で議論が進められました。こうした文脈に抗して、より統合的に再生産を考え、私たちの生の様々なあり方の継承を持続型生存基盤のパラダイムに向けた議論として意味あるものとするために「生のつながり」について考えたいと思います。生殖を出発点としながら、人が次世代へと生のあり方全体をどのように継承し存続させていこうとするか、という観点から再生産を再考していきます。人から人へ生のあり方を継承していくこと、そこには遺伝子や「血」の論理という生殖そのものをイメージした「生物学的な」継承、モノを介した経済的継承、および社会システム、価値や文化的・象徴論的な継承、あるいは、身体的実践そのものの継承などがあります。
    彼方の社会の社会システムの持続と継承を考える上で、かつて人類学では「親族」という問題領域が重視されました。しかし、他社会の「親族」を理解する枠組が常に自社会の諸前提を脱し切れていないと気づいたことから、この領域への関心は失われました。近年、新たな様相で活発化する親族研究の展開の中で、「関係性」(relatedness)、あるいはその関係をつなぐモノに注目し、親族・家族の関係における社会的なものと生物学的なものの所与の分別、生殖技術と知識や価値の相互関係の動態、カテゴリーの普遍化や固定化された既存の社会単位・概念・組織原理の再考がなされています。旧来の親族理論がいわゆる「彼方の他者」を対象としてきたのに対して、研究者自身の足元にある親族に関わる観念と、彼方の他者のものとを同じ俎上に乗せて議論することで、私たち自身の生の継承を「彼ら」の生の継承と相互参照させながら、ディシプリンを超えてより豊かに想像することを目指したいと思います。
    ここでは『親族』や『再生産』を「生のつながり(関係性)」という視点から再考し、現代社会における「生のつながり」とは何かを考えていきます。次世代への継承、時間の流れの中での生のつながりを考える契機として、新生殖医療、国際結婚、同性愛家族などを取り上げます。また、時間的には「逆行」するようですが、高齢者と介護の問題は、子にとっての親を見ることで、生のつながりを逆の視点から見るトピックとなります。その流れの中で、特に、新生殖技術、移動と流動、グローバル化する社会にあって人としていかに何を継承し、文化的に、「生のつながり」を実現していくかを、自他の社会の中で考えたいと思います。〈速水洋子〉
  6. 報告要旨:
    宇田川妙子(国立民族学博物館)
    「人の断片化か、新たな関係性か:イタリアの生殖技術論争の事例から」

    イタリアでは2004年、生殖補助医療法が成立し、翌年には改正を求めた国民投票が不成立になったが、その前後から、生殖技術をめぐる論点は「家族」から「生命」に変わりつつある。しかも現在では、生殖技術よりも中絶や安楽死が論争の中心になっており、ここでもキーワードは「生命」である。生殖技術は家族・親族関係に新たな頁を拓きうると言われたが、少なくともイタリアの法制化をめぐっては、新たな家族・親族関係の萌芽や内省よりも、性や生殖に関してきわめて近代主義的でテクノ化された議論が繰り広げられ、いわゆる「生-権力」が剥き出しになった。その一極が「生命」言説であり、そこには社会関係および人の「断片化」も見てとれる。ただしこれは、狭義の政治の場における議論であって、人々の日常と多少乖離しており、「生-権力」自体も多元的ではある。本発表では、この「生命」言説が、いかに彼らの家族・親族を含めた社会関係(の変容)と関連しているのか、そこで交渉されているのは何なのか、その一端を考えてみたい。
    砂川秀樹〈実践女子大学〉
    「同性愛者のパートナーシップと家族、次世代への継承」

    近年、西欧や北米だけでなく、中南米地域などでも同性間のパートナーシップを法的に認める動きが広がりつつある。しかし、そのことを織り込んだ家族論は極めて少ない。また、米国などではレズビアンカップルが人工授精により出産をおこなったりすることも、ますます増えている。親族研究に蓄積のある人類学はそれをどのように取り込んでいくのか、大きな課題となりつつある。また日本では、同性カップルを法的に保護する制度はなく、時に成人同士の養子縁組がその代わりとして用いられてきた。法的保護がないこと、養子縁組をその代わりとすることが、どのように日本の同性愛者の関係性構築に影響を与えてきたのかについて、欧米の研究を参考にしながら考えてみたい。
    工藤正子(東京大学)
    「国際結婚にみる「つながり」の形成―パキスタン人移住労働者と結婚した日本人女性たちの事例から―」

    現代日本の家族の変容をみたときに、特徴のひとつとして挙げられるのが、1980年代以降の「国際結婚」の増加である。とくに、日本人女性と外国人男性の組み合わせに関しては、相手の国籍の多様化が顕著であり、その背景には、同年代に急増した外国人労働者との結婚増加があると推測される。本発表は、こうした結婚のなかで、パキスタン人ムスリム男性と結婚をした日本人女性たちの経験に焦点をあて、彼女たちのトランスナショナルな生活世界のなかで、「家族」がいかに構築されるのかを考察する。
    発表者は1990年代末より、関東圏でこれらの女性たちに聞き取り調査を行ってきた。こうした家族において、現在、傾向としてみられるのが、移動労働者であった夫が日本でビジネスをつづけ、日本人女性は子どもをつれてパキスタンに移住する、という国境を越えた家族の分散である。発表では、こうした「家族」が形成される背景にある複合要因を検討したうえで、分散しつつも、つながり合う「家族」のなかに、出稼ぎ労働者である夫たちと、彼らと結婚をした日本人女性たちそれぞれの「つながり」に対する想像力や期待がいかにせめぎあい、次世代に向けて形成されつつあるのかを考察したい。
    鈴木七美(国立民族学博物館)
    「次世代コミュニティ・デザイン‐ケア・教育をめぐるオルタナティブ思想・実践から考える‐」

    少子高齢・多文化化という社会状況のもとで、子どもの誕生・登場・育成や高齢者ケアをめぐるオルタナティブが活発に提示されてきた。次世代育成あるいはライフステージの渡りに関わる多様な実践は、ローカルなコミュニティ・デザインに関するアイディアの表現と議論の時空間を創出することでもある。本報告では、ケアや教育に関わる施設の展開に次世代コミュニティ・デザインがどのように表現されているのかを考えてみたい。
  7. コーディネーター:西 真如 (CSEAS)
G-COEイニシアティブ1研究会
G-COE・イニシアティブ1(中東・イスラーム・サブグループ)では、「イスラーム的システムの史的展開」シリーズの第1回として、以下の研究会を開催いたします。講師の三浦先生は、マムルーク朝研究の第一人者として皆さまよくご存じと思いますが、今回はお忙しい中、京都までおいでいただけることになりました。せっかくの機会ですので、ふるってご参加ください。
  1. 日 時:2008年11月1日(土)15:00-17:30
  2. 場 所:
    京都大学吉田キャンパス総合研究2号館(旧工学部4号館)4階第1講義室
    http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_y.htm
    http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kias/contents/tariqa_ws/access_map.pdf
  3. 題 名:「マムルーク朝」
  4. 講 師:三浦徹(お茶の水大学副学長)
  5. G-COEプログラム「生存基盤持続型の発展をめざす地域研究拠点」の全体は、http://www.humanosphere.cseas.kyoto-u.ac.jp/ でご覧いただけます。イニシアティブ1は、その中で「環境・技術・制度の長期ダイナミクス」を研究していますが、今回の研究会はその下のサブ・グループで、イスラーム的システムを歴史的に勉強しようという趣旨で開催されます。