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Center forSoutheast Asian Studies Kyoto University

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過去のセミナー案内:20年度

2009年1月

東南アジア学会関西部会
  1. 日 時:2009年1月31日(土) 13:30-17:45
  2. 場 所:京都大学稲盛記念会館(川端通り荒神口角)3階大会議室
  3. 【報告1
    発表者:鈴木玲治(京都大学 生存基盤化学研究ユニット・東南アジア研究所)
    テーマ:
    長期休閑型の焼畑移動耕作が森林植生の長期的変化に与える影響
    ―ミャンマー・バゴー山地のカレン集落の事例―
    コメンテーター:倉島孝行 (京都大学東南アジア研究所)
    要 旨:
    世界有数のチーク産地であるミャンマー・バゴー山地では、森林伐採や焼畑は厳しく制限されているが、19世紀末に国有林内での焼畑耕作が特別に認められたカレンエリアでは、今日でもカレンの人々による長期休閑型の焼畑が営まれている。本報告では、詳細な現地調査と衛星画像によるリモートセンシングを組み合わせ、カレンエリア内のS村で営まれる焼畑移動耕作が森林植生の長期的な変化に与えてきた影響を解析することを目的とする。
    1989-2006年の衛星画像からS村の土地被覆の変化を解析した結果、木本が優占する群落の面積は1989年から2001年まで徐々に減少したものの、その後はわずかながら増加傾向にあることが確認された。また、過去20年間で焼畑に伐開されなかった場所(便宜上、残存林と呼ぶ)は村落面積の約13%にあたる657.5haであった。村落中心から約1km圏内は水源涵養や薪炭採取のための村落共有林として保全されており、その外側では村落中心から離れるほど残存林の面積割合が高い傾向を示した。また、近年はタケの優占する比較的若い休閑地で焼畑を開く世帯が増えていることが確認された。残存林を新たに伐開する余地は十分にあると思われるが、残存林の多くは村落中心から遠いため、村落中心付近に多く分布し、伐採が容易でよく燃えるタケ群落が好んで伐開されているのである。このようなタケの伐開は、休閑期の早期の植生回復を促している可能性が高い。また、現地調査で確認された伐採木の高伐りや尾根筋の森林の保全なども、休閑期の植生回復や土壌保全に寄与していると考えられる。
    このような土地利用の結果、集落中心から約1km圏内は保全林、保全林の外側には休閑期12年程度で高頻度に焼畑が営まれるタケが優占する休閑林が卓越し、さらにその外側には休閑期間が比較的長く、木本が優占する休閑林が形成されている。様々な遷移段階の休閑林の存在は種の多様性を高める役割を果たしており、休閑林からの有用植物の採取も認められた。長期に及ぶ焼畑移動耕作の結果、かつてのチーク天然林は姿を変えたが、2001年以降は木本が優占する群落の減少は認められず、S村周辺の森林植生は伐採と回復がほぼ均衡した状態にある可能性が高い。現状の人口密度が維持される限りは、持続的な焼畑移動耕作が可能といえるだろう。
  4. 【報告2】
    発表者:増野高司(国立民族学博物館・外来研究員)
    タイトル:タイの森林保護政策と山地住民の農地利用:ヤオ族の事例
    コメンテーター:福島万紀(京都大学大学院農学研究科)
    要 旨:
    東南アジア各国において,森林保護政策をはじめとした国家政策の影響により,住民は従来慣習的に利用してきた農地や林地を自由に利用することが困難となってきている.特に山地において広く営まれてきた焼畑は,耕作地に加えて休閑地が見られることや,森林植生を伐採・焼却することから,国家が推進する土地管理になじまないものといわれている.本報告は,タイ北部に位置するヤオ族の山村を事例として,住民の農地利用の変化を示すことから,森林保護政策を中心とした国家政策に対する住民の対応を明らかにすることを目的とする.具体的には,1954年から2005年にかけての,住民の農地利用の変遷が示される.そのうえで,森林局が水源地の森林を保全することを目的として,1990年代から管理を始めた水源管理域と,これに対する住民の対応を世帯レベルで明らかにする.そして,山村での生活がどのように変化し,かつ維持されてきたのかについて議論したい.
  5. 世話人:倉島孝行、蓮田隆 、片岡樹、速水洋子
生存基盤科学研究ユニット京滋フィールドステーション事業 第8回研究会
下記のとおり、京都大学東南アジア研究所が担当する京都大学生存基盤科学研究ユニット京滋フィールドステーション事業(滋賀サイト型機動研究「在地と都市がつくる循環型社会再生のための実践型地域研究」)の研究会を開催致しますので、興味のある方はご参加ください。
  1. 日 時:2009年1月30日(金) 16:00~19:00
  2. 場 所:守山フィールドステーション(滋賀県守山市梅田町12-32、JR守山駅から徒歩5分)
  3. 発表者:戸田直弘(琵琶湖漁師)
  4. 発表題目:漁師納得の外来魚活用-防災備蓄食糧としての缶詰-
  5. 発表要旨:
    1983年、琵琶湖でブラックバスを確認。その後、外来魚は10種に増え、爆発的に繁殖した。同時に在来魚の漁獲量は20年のうちに半減する。危機感を抱いた漁師は、1984年に駆除を開始。翌年から国や県が燃料や網の補修費用の補助を始めた。県の本格的な外来魚対策事業も始まり、2002年には県漁協への補助金が1億円を突破した。
    “漁師が税金で生かされるのは情けないし、申し訳ない。”この思いをつのらせていた県漁連の青年会は、災害備蓄食糧として、駆除した外来魚を活用できないかと考えた。これまで外来魚を漁業資源とはみなさない、という姿勢のもとで、自問自答を繰り返しながらの、試行錯誤が始まった。
    これまで琵琶湖に投じられた予算(税金)を、備蓄用の食糧として還元したい、という願いがある。
  6. ご出席される方は、会場のスペースの関係もありますので、1/28(水)までに世話役を行なっている鈴木玲治rsuzuki@cseas.kyoto-u.ac.jpへメールでご連絡ください。よろしくお願いいたします。
  7. 問い合わせ先:鈴木 玲治(CSEAS)
共同研究集会 京都大学 防災研究所+生存圏研究所+東南アジア研究所+生存基盤科学研究ユニット
「気象災害軽減など人間活動の持続可能性に関する研究集会 -南アジア地域を中心として-」
  1. 日 時:2009年1月29-30日
  2. 場 所:京都大学木質ホール(京都大学宇治キャンパス)
  3. 趣 旨:
  4. 近年,バングラデシュにはサイクロンSidr,ミャンマーにはNargisが襲来し,大きな被害をもたらしました.このような気象災害を軽減するためには,大気現象としての自然科学的な理解だけでなく,それが生じる現場についても状況の把握が不可欠です。ここでは, 南アジア域を中心として, 災害をもたらす大気現象から,災害によってブレークする感染症の状況, 農村社会の現状とその動態, 地域植生など生態系の特徴,人間活動の歴史を含めた在地の智恵などまで包括的に発表して頂き, 議論するために,研究集会を企画しました。この研究集会を通じて南アジア域の社会とそれを規定する自然条件の現状を総体として理解し,地域社会の発展に向けた具体的な戦略を明らかにする基礎が築かれることが期待できます。
  5. プログラム:
    1月29日
    13:30-14:40
    趣旨説明
    林 泰一(京都大学防災研究所)
    セッション1
    座長 村田文絵
    13:40
    JRA-25再解析によるインド洋熱帯低気圧活動の解析
     釜堀弘隆(気象研究所)・千葉長・高橋清利・山崎信雄
    14:00
    LONG TERM VARIABILITY INTENSE PRECIPITATION AND OCCURENCES OF FLOOD IN BANGLADESH AND SURROUNDING AREA
     Roxanna Hoque(首都大学東京・都市環境科学) and Jun Matsumoto
    14:20
    格子点データを用いた日本陸域の極端気象現象の抽出方法
     奥 勇一郎(京都大学防災研究所)・Kim Sunmin・中北 英一
    14:40
    インドにおける近年の季節降水量トレンドについて
     福島あずさ(首都大学東京・都市環境科学)・松本淳
    15:00
    メガラヤ高原南嶺の夜雨とシレットの風の関係
     村田文絵(高知大学理学部)・寺尾徹・山根悠介・木口雅司・林泰一
    15:20
    バングラデシュ気象局における国内およびGTS気象情報の収集と利用の実情
     林夕路(東洋電子工業㈱)
    15:40
    休憩
    セッション2
    座長 林 泰一
    15:50
    写真で見る伊勢湾台風被害
     加藤 丈朗(朝日新聞名古屋本社)
    16:10
    極地からみる地球
     中山由美(朝日新聞東京本社)
    16:30
    20世紀初頭のバングラデシュ・サラソウジュ林地帯における自然環境と人々の暮らし -GIS分析を活用した歴史地理的アプローチ-
     東城文柄(総合地球環境学研究所)
    16:50
    バングラデシュ農村部における気温と死亡率の関連
     橋爪真弘(長崎大学熱帯医学研究所)・我妻ゆき子・林泰一・Sajal Saha・Kim Streatfield・Mohammad Yunus
    17:10
    バングラデシュの洪水害と雨季稲作 ハオール地域の事例
     内田晴夫(農研機構・近畿中国四国農業研究センター)、安藤和雄
    17:30
    インド亜大陸北東部の気象と人間活動
     林 泰一(京都大学防災研究所)
    18:00-
    懇親会 京都大学生協宇治食堂
    1月30日
    セッション3
    座長 宮本真二
    09:30
    ベンガルの水環境に関する住民の意識構造の分析
     坂本麻衣子(長崎大学工学部)・西川秀次郎・田中貴之・萩原良巳
    09:50
    バングラデシュの農村部における飲料水ヒ素汚染災害に関する研究
     福島翔(京都大学防災研究所),萩原良巳
    10:10
    持続的発展のための農業・農村開発における文化と主体性の問題ーバングラデシュと日本での試みー  
     安藤和雄(京都大学東南アジア研究所)
    10:30
    バングラデシュ中央部,ジャムナ川中流域における先史時代以降の地形環境変遷と屋敷地の形成過程        
     宮本真二(滋賀県立琵琶湖博物館)・安藤 和雄
    10:50-11:00
    休憩
    セッション4
    座長 木口雅司
    11:00
    ヤンゴン近郊でのNargis被害
     石川裕彦(京都大学防災研究所)
    11:20
    衛星データとモデリングによるサイクロンNARGISの眼の構造解析
     吉田龍二(京都大学防災研究所)・奥勇一郎・竹見哲也・石川裕彦
    11:40
    ベトナム中部で発生した豪雨とサイクロンSidr との関係について
     金森大成(首都大学東京・都市環境科学)、上米良秀行、安形康、松本淳
    12:00
    バングラデシュにおける局地的対流性擾乱の発生に伴う総観場の特徴
     山根 悠介(京都大学次世代開拓ユニット)
    12:20
    インド・アッサム域からバングラデシュにおけるプレモンスーン降水とSRES下における年流出量と水使用量から見積もられた将来水ストレス人口
     木口雅司(東京大学生産技術研究所)・山根悠介・江口菜穂・林泰一・沖大幹
    12:40
    閉会の挨拶
Special Seminar
  1. 日 時:2009年1月29日(木) 16:00-
  2. 場 所:京都大学東南アジア研究所 稲盛財団記念館3階小会議室II(331室)
  3. 話題提供者:Tatik Saadati Hafidz, CSEAS visiting research fellow
  4. 演 題:"A LONG ROW TO HOE: ASEAN COOPERATION ON COUNTER-TERRORISM"
  5. 要 旨:
    Southeast Asia has had a long history of fighting terrorism, but the terrorist attacks of 11 September 2001 against the United States and the region’s deepening integration with the global economy elevated regional cooperation to counter terrorism to a higher plane. In the pre-11 September period, Southeast Asian countries dealt with the challenges of terrorism facing their respective territories unilaterally and/or multilaterally. But the Bush administration’s framing of Southeast Asia as the “second front” of the American-led war on terror and greater economic globalisation which has, in many ways, created the conditions for growing “global underworld” such as the transnational crime-terrorism nexus, provided impetus for a concerted regional response to address their implications.
    Whilst a wealth of literature exists about the threats posed by terrorism in Southeast Asia, few provide insights into the regional mechanisms and measures to deal with the threats and assess their adequacy and efficacy. This paper aims at two purposes: whilst attempting at a critical and primary-source-based analysis on regional cooperation to counter terrorism through Association of Southeast Asian Nations (ASEAN), it also seeks to contribute to a better understanding of ASEAN through a closer look at its complex and less-understood institutions and mechanisms pertaining to security issues. The main argument here is that whilst regional cooperation on counter-terrorism has been initiated in response to the American agenda, the fact that terrorism in Southeast Asia is both a local and global phenomenon makes it imperative for ASEAN to strategically redefine its counter-terrorism policy so as to maintain its sustainability in light of changing global security environment.
G-COEイニシアティブ1・3合同ワークショップ
  1. 日 時:2009年1月28日(水) 13:30より約1時間半
  2. 場 所:京都大学東南アジア研究所 稲盛財団記念館3階小会議室II(331室)
  3. 報 告:
    1)Hakimi Shafiai"Profit Sharing Contract in Felcra from Islamic Perspectives"
    2)Mohammad Najmul Islam"Socio-economic Impacts of Bank Erosion of the River Padma at Zanjira, Bangladesh"
    3)Haris Gunawan"A Study of the Role of Peat Swamp Forest Remnants to Maintain the Native Tree Diversity in A Timber Estate on Tropical Peatlands"
G-COEイニシアティブ3研究会
  1. 日 時:2009年1月26日(月) 12:30~14:00
  2. 場 所:京都大学東南アジア研究所 稲盛財団記念館3階小会議室330室
    リアウにおけるサイト研究の現状報告と活動について
    1)リアウワークショップとMOUについて報告
    2)今後の研究活動
    3)国際シンポジウム(本年3月)について
  3. 内 容:
    インドネシアスマトラ島リアウ州にある天然林・観光林それにSinarMas社の産業人工林が複合した領域(78万ha)が、現在"UNESCO Wild Life Reserve"として申請されています。このサイトを中心として、イニシアティブ3のメンバーによる文理融合の研究が展開できないかと計画しております。この研究は、インドネシア科学院(LIPI)、林業省(Dept of Forestry)、リアウ州政府とともに行う共同研究活動となります。
G-COEシンポ:生存を支える「地域/社会」の再編成
GCOEの若手部会とイニシアティブ4との共催による合宿シンポのプログラムが確定しましたので、お知らせいたします。
  1. 日 時:2009年1月23-25日
  2. 場 所:KKRホテルびわこ http://www.kkrbiwako.com/index.htm
  3. 要 旨
    市場経済化やグローバル化のなかで、われわれの生存を支える「地域/社会」は大きな変容を迫られている。ローカル・コミュニティや地域社会、国家、国際社会、さまざまな「社会的なもの」がひとびとの生活世界に関与する時代にあって、生存の基盤となるべき「地域/社会」をどのようなものとして把握/構想できるのか。若手の地域研究者の事例報告をもとに議論する。
  4. プログラム:
    1月23日(金)
    15:00-15:20 シンポ趣旨説明
    ◇セッション1 市場経済化と空間の再編成
    15:20-16:00 西垣有(阪大) 「公共空間をつくる―ポスト社会主義期、モンゴル・ウランバートル市の事例から」
    16:00-16:40 細田尚美(東南ア研) 「移動と交歓―フィリピン向都移民の民族誌」
    16:40-16:50 休憩
    16:50-17:50 コメント・討論1
    18:00-19:30 夕食
    19:30-22:00 シンポ参加者の研究紹介1

    1月24日(土)
    ◇セッション2 生存を支える生業/生態環境の動態
    9:00-9:40 長倉美予(ASAFAS) 「レソト山岳地の生業とその変遷」
    9:40-10:20 鈴木 玲治(生存研ユニット・東南ア研)「ミャンマー・カレンの営む焼畑土地利用の履歴と森林植生の長期的変化」
    10:20-10:30 休憩
    10:30-11:30 コメント・討論2
    11:30-13:00 昼食休憩

    ◇セッション3 宗教のダイナミズムと地域社会の変容
    13:00-13:40 小河久志(総研大) 「「正しいイスラーム」をめぐるポリティクス:タイ南部インド洋津波被災地における宗教実践の変容を事例に」
    13:40-14:20 池田昭光(都立大) 「レバノン内戦の記憶に関する予備的考察:宗派という視点」
    14:20-15:20 コメント・討論3
    15:20-15:40 休憩

    ◇セッション4 紛争のなかの生存基盤
    15:40-16:20 佐川徹(ASAFAS) 「暴力と歓待の境界:東アフリカ牧畜民による可傷性への対処」
    16:20-17:00 久保忠行(神戸大) 「ビルマ:紛争の現代的特徴と難民キャンプの生活世界」
    17:00-18:00 コメント・討論4
    18:00-19:30 夕食
    19:30-22:00 シンポ参加者の研究紹介2

    1月25日(日)
    ◇セッション5 国家の福祉政策と生活世界
    9:30-10:10 山北輝裕(関学) 「野宿者にとって<地域福祉>とはなにか」
    10:10-10:50 倉田誠(神戸大) 「住民の末端化/主体化の力学:小規模国家サモアにおける保健医療サービスの展開から」
    10:50-11:00 休憩
    11:00-12:00 コメント・討論5
    12:00-13:00 昼食休憩
    13:00-14:30 総合討論
  5. 当日、参加を希望される方は、19日までに、下記、松村宛てにお知らせください。
    多数の皆様のご参加をお待ちしております。
    松村圭一郎(人環) kmatsu@anth.jinkan.kyoto-u.ac.jp
第40回「東南アジアの社会と文化研究会
「東南アジアの社会と文化研究会」を、以下のとおり開催いたします。オープンな研究会ですので、ふるってご参集くださいますようお願いいたします。なお今回は、第4週目の金曜日の開催となっておりますので、ご注意くださいませ。
  1. 日 時:2009年1月23日(金) 16:00-18:00
  2. 場 所:
    京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
    総合研究2号館(旧・工学部 4号館)4階 会議室(AA447)
    http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/about/access.html
  3. 話題提供者:吉本康子氏(国立民族学博物館・外来研究員)
  4. 演 題:異端から正統へ-ベトナム中南部におけるチャム・バニの宗教実践と解釈についての考察-
  5. 要 旨:
    ベトナムの少数民族チャムの一集団であるチャム・バニは、イスラームの要素と精霊等を並存して信仰していることから、仏領期以降の記述において「バニ派」あるいは「古いムスリム」等と称され、「異端」や「変形」といった否定的な形容とともにイスラームの一派として紹介されることが多い。しかし、チャム・バニのアラーに対する信仰と実践のあり方は「宗教職能者」と「在家」という社会を構成する二つの層によって大きく異なっており、人々はウンマの成員としての宗教的自意識も共有していないので、その理解には注意が必要である。
    チャム・バニの宗教は、彼らと同じベトナム中部南端の平野に暮らすチャム・バラモンと象徴二元論的な世界観を共有しており、この地域のチャム知識人たちはそれこそがチャムの「正統」な宗教だと主張している。他方で、1960年代には一部のチャム・バニ出身者の間でイスラーム覚醒が起こっており、スンニ派への「改宗」者も誕生した。
    諸民族の文化的多元性が容認されはじめ、国家レベルで「文化的アイデンティティの構築」が奨励されるようになったドイモイ以後のベトナムでは、多様性や様々な文化要素の融合といった特徴は、寛容性という積極的な意味を付与される傾向にある。宗教をめぐる言説に着目してみると、チャム・バニの社会に見られるような、原理主義とは逆の方向に形成されるシンクレティックな宗教実践のあり方はベトナムの民族の独自性として積極的に評価されている。
    本報告では、宗教をめぐる評価を様々なレベルで検討し、ベトナム中部南端のチャム・バニの社会における宗教文化の再編過程を考察する。
  6. 研究会ホームページ:http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kenkyuukatsudou/syakai-bunka/index.html
  7. 研究会世話人/事務局:
    杉島敬志 (京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
    林行夫 (京都大学地域研究統合情報センター)
    速水洋子 (京都大学東南アジア研究所)
    伊藤正子 (京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
    問い合わせ先:
    itomasak@asafas.kyoto-u.ac.jp
    片岡樹(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
    王 柳蘭  (京都大学大学院・アジアアフリカ地域研究研究科)
    備 考:
    事前の参加予約は必要ありません。
    当日は、資料代として 200円をいただきます。
第4回京都大学東南アジアフォーラム"Water Cycle Management in Indonesia "
  1. 日 時:2009年1月23日(金)-24日(土)
  2. 場 所:PB International Conference Center (IICC)
  3. 主催:Kyoto University Alumni Association/ HAKU (Himpunan Alumni Kyoto University Indonesia) in collaboration with Bogor Agricultural University
G-COEイニシアティブ4研究会
  1. 日 時:2009年1月20日(火)14:00~16:00
  2. 場 所:
    京都大学川端キャンパス稲盛財団記念館3階小会議室(331号室)
    http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_b.htm
  3. 報告1:
    「災害から見る生存基盤のネットワーク(仮)」
    木村周平(京都大学GCOE助教)
  4. 報告2:
    「ウイルスと民主主義:エチオピアのグラゲ県住民によるHIV/AIDSへの取り組みの経験」
    西真如(京都大学GCOE研究員)
G-COE第15回パラダイム研究会
1月のパラダイム研究会のお知らせです。今回は、国立民族学博物館教授の関雄二先生にお越しいただき、「アンデス文明における権力の盛衰」というタイトルで、数十年にわたる当地での考古学的調査に基づき、アンデスにおける社会の形成・持続・衰退を、権力をキーワードに、食糧資源や環境変動との関わりからお話しいただきます。
大勢の方のご参加をお待ちしています。院生の方も大歓迎です。
  1. 日 時:2009年1月19日(月) 16:00-18:30 (その後懇親会あり)
  2. 場 所:京都大学稲盛財団記念館 3階 大会議室
  3. 講 師:国立民族学博物館 先端人類科学研究部教授 関雄二先生
  4. 関先生は昨年、考古学においてきわめて権威ある濱田青陵賞を受賞された文化人類学者で、アンデス地域においてインカ帝国以前の「形成期」と呼ばれる時代がご専門です(より詳しいことはhttp://www.minpaku.ac.jp/staff/seki/をご覧ください)。
    近著に『古代アンデス権力の考古学』(2006年、京大出版)や『文明の創造力』(1998年、角川書店)などがあります。
研究会「災害対応と地域研究――2008年ミャンマー・サイクロン被害の事例から」
  1. 日 時:2009年1月19日(月)14:00~17:00
  2. 場 所:
    京都大学稲盛財団記念館小会議室Ⅰ
    http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_m.htm
  3. プログラム:
    趣旨説明 西芳実(東京大学大学院総合文化研究科「人間の安全保障」プログラム)
    報告1 山本理夏(特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン)
    報告2 齋藤哲也(JICA専門家/日本工営株式会社)
    報告3 飯國有佳子(法政大学非常勤講師)
    コメント 藤田幸一(京都大学東南アジア研究所)・岡本郁子(アジア経済研究所)
    討論
  4. 趣旨:
    自然災害への対応において、被災地の事情に通じた地域研究者が重要な役割を担うことが求められており、また、地域研究者のあいだでもその方法が模索されはじめている。この研究会はそのような試みの一つとして、地域研究者が被災の現場で緊急・復興支援活動に直接携わるのとは異なる災害対応への関わり方を考えたい。
    この研究会は、人道支援、防災研究、地域研究をそれぞれ専門とする人々が集まり、それぞれの立場や関心に応じて、地域に対する理解を深め、また現場での支援活動をより意義のあるものにするためのアイディアを得ることを目的とする。
    災害は日常から切り離された一時的なできごとではない。災害は、社会が潜在的に抱える課題に作用して、通常は見えにくかったり語られなかったりする課題や構造を目にみえるかたちで人々の前に示す。被災や災害対応を見ることには、災害を直接の研究対象とすること以外に、その社会に対する理解を深めることができるという意義がある。
    また、被災者は被災前からさまざまな課題を抱えていると考えるならば、被災者にとって災害対応を被災前から抱える課題への対応と切り離すことはできない。緊急・復興支援の対象となる被災者の考え方や行動を理解するには、被災前の社会の状況や、社会の被災以外の側面、さらに被災していない地域を含めた社会の中における被災地の位置づけについての理解が欠かせない。
    この研究会は、災害を切り口に、地域研究者や実務家がそれぞれの知見をもちよることを通じて、それぞれの専門性がより豊かに発展する場を提供することをめざしている。
    第一回の研究会では、2008年5月に発生したミャンマーのサイクロン被害について、人道支援の実務家と地域研究者からの話題提供を受け、参加者の討論を通じてミャンマーおよびサイクロン被害についての理解を深める。このことは、現在進行中の被災地支援活動にとっても意味があるものとなるだろう。災害を研究対象としているかいないかにかかわらず、関心のある方の積極的な参加を歓迎します。
  5. 主催:東南アジア研究所共同研究「アジアにおける大規模自然災害の政治経済的影響に関する基礎的研究」(代表:西芳実)
  6. 共催:地域研究コンソーシアム地域研究方法論研究会
第3回京都大学東南アジアフォーラム"Global Crisis in Food and Energy: Thailand-Japan Perspectives"
2007年11月にジャカルタに於いて開催された第1回フォーラム、2008年1月26日にバンコクで開催された第2回フォーラムにつづき、来年1月17日、バンコクにて、第3回京都大学東南アジアフォーラムを開催することになりました。
本フォーラムは、東南アジア社会に対する知的還元と人材の発掘を趣旨としています。今回は、CSEASバンコク事務所、京都大学を卒業されたタイ人同窓生組織(Kyoto Union Club)、タイでご活躍されている日本人京大同窓生の組織と協力して、準備を進めています。
このたび、プログラムが確定しましたので、フォーラムおよびレセプションパーティーのご案内をさせて頂きます。
第3回フォーラムのメインテーマは「食糧・エネルギー危機への新しい視角」です。具体的には、
-本学農学部名誉教授の辻井博先生による食糧危機についてのご講演、
-タイ人同窓生によるエネルギー危機時代の技術開発に関するご講演、
-JETROバンコクセンター所長の山田宗範氏(本学経済学部卒)によるERIA
(Economic Research Institute for ASEAN and East Asia)のエネルギー・食糧危機政策に関するご講演
となっております。
フォーラムとレセプションパーティーには、できるだけ広い範囲から参加者を集めたいと考えております。1月中にタイへ渡航される予定の皆様は、ぜひお気軽にお立ち寄りください。
  1. 日 時:2009年1月17日(土)
  2. フォーラム会場:
    Room "Rainbow", 5th Floor, Imperial Queens Park Hotel
    Address: 199 Sukhumvit, Soi 22, Bangkok 10110
    Tel: 02-261-9000
    Fax: 02-261-9499
  3. レセプション会場:
    Bangkok Liaison Office, Center for Southeast Asian Studies
    Grand floor, Raj Mansion, 31-33, Soi 20, Sukhumvit Road
  4. プログラム:
  5. 13:00-13:30  Registration
    13:30-14:00 Opening (Chair: Assoc. Prof. Arai Nobuaki, Kyoto University)
    -Welcome address 1: His Excellency Mr. Komachi Kyoji (JapaneseAmbassador)
    -Welcome address 2: Prof. Yoshikawa Kiyoshi (Representative of KyotoUniversity)
    -Welcome address 3: Dr. Wiwut Tanthapanichakoon (Representative of KUC)

    14:00-14:45 Lecture 1 (Chair: Prof. Kono Yasuyuki, Kyoto University)
    -Speaker: Prof. Tsujii Hiroshi, Professor Emeritus, Kyoto University
    "World food Crisis and the Roles that Thailand and Japan Should Play"

    14:45-15:15 Coffee break

    15:15-16:00 Lecture 2 (Chair: Assoc. Prof. Dr. Sucharit Koontanakulvong,Chulalongkorn University)
    -Speaker: Dr. Sommai Pivsa and Dr. Sorapong Pavasupree, RajamangalaUniversity of Technology Thanyaburi
    "Energy Crisis from the Perspectives of RMUTT - Kyoto UniversityCooperative Works in Energy and Materials Research"(in Thai language)

    16:00-16:45 Lecture 3 (Chair: Mr. Yamamoto Akio, Japanese Alumni )
    -Speaker: Mr. Yamada Munenori, President of JETRO Bangkok Center
    “ERIA’s Activities on Food & Energy Security”(ERIA = the Economic Research Institute for ASEAN and East Asia)

    16:50-17:00 Closing (Chair: Prof. Kono Yasuyuki, Kyoto University)
    -Closing address: Professor. Mizuno Kosuke (Director of Center forSoutheast Asian Studies)

    17:00-19:30 Reception Party (Chair: KUC, Japanese Alumni and KU)
    -Welcome address 1: Mr. Yamamoto Akio (Mitsui Bussan, Representative of Japanese Alumni)
    -Welcome address 2: Assoc. Prof. Krisada Visavateeranon (President of Thai-Nichi Institute of Technology)
  6. ポスター:PDF
  7. Remarks:
    The above International Forum in Imperial Queen’s Park Hotel is open to the interested public free of charge, whilst the Reunion Party in the evening is open to Kyodai alumni, their families and colleagues with a participation fee of 700 baht per person for Thai participants and 1,000 baht per person for Japanese participants.
  8. Institutional setting:
    *Forum:Organized by Kyoto University and KUC (Kyoto Union Club)
    Supported by Thai-Nichi Institute of Technology(TNI)
    *Reception party:Organized by Kyoto University, KUC and Japanese KU Alumni Association in Bangkok
  9. 問い合わせ先:小林知(CSEAS)
第3回ドバイ移民社会研究会
今回の研究会のテーマは、中東湾岸諸国における外国人女性家事労働者の現状と課題です。このテーマを、ジェンダー研究と、外国人女性家事労働者の人権という2つの視点から報告いただきます。オープンな研究会ですので、関心のある方はどなたでもご参加ください。
  1. 日 時:2009年1月17日(土) 13:30~17:00
  2. 場 所:京都大学東南アジア研究所 稲盛財団記念館3階 小会議室I
  3.       http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp/about/access_ja.html    
  4. プログラム:
  5. 13:30-14:30
     辻上奈美江氏(アジア防災センター)
     「マダムとシャッガーラ:湾岸諸国の外国人労働者とジェンダー問題」
    14:40-15:40
     嶋田ミカ氏(龍谷大学経済学部)
     「湾岸諸国におけるアジア女性労働者をめぐる諸問題―インドネシア人とスリランカ人を中心に―」
    15:50-17:00 ディスカッション

    問い合わせ先:
    堀拔功二(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
    細田尚美(京都大学東南アジア研究所)
「東南アジアで越境する感染症」研究会
  1. 日 時:2009年1月10日(土) 14:00 -
  2. 場 所:京都大学東南アジア研究所 稲盛財団記念館 中会議室(3階)
  3.       http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp/about/access_ja.html    
  4. プログラム:
  5. 14:00-15:00
  6. "Livestock Sector Development in Vietnam and Emerging Issues about Food Safety"
     MA. LUCILA A. LAPAR  ベトナムILRI(International Livestock Research Institute)

  7. 15:00-16:00
     「タイ南部ハジャイ市で市販されている二枚貝の腸炎ビブリオ世界的大流行株の汚染調査」
    "Investigation on the distribution of the pandemic strains of Vibrio parahaemolyticus in the molluscan shellfish marketed in Hat Yai City" southern Thailand
     瀬尾 晃司 (京都大学 医学部)

    「インドネシア・パダン市および周辺地区の腸炎ビブリオ感染症調査」
    "Investigation on the infection by Vibrio parahaemolyticus in and around Padang City, Indonesia"
    清水 理香 (京都大学大学院 医学研究科)

    「シンガポールにおけるチクングニヤ熱国内流行:政治的意志を体現する都市国家の対策」
    "Domestic Chikungunya fever outbreaks in Singapore: the control measures that reflect the political will of the city-state"
    吉川 みな子 (京都大学大学院 アジア・アフリカ地域研究研究科)

    16:00-
    「タイの水産物流通-エビを中心に-」
    遠藤 環 (埼玉大学)

    「タイ・ラノーンにおけるミャンマー人労働者-予備調査報告-」
    藤田幸一 (京大 東南アジア研)

    問い合わせ先:
    中口 義次(京都大学東南アジア研究所)
第1回 「東南アジアの『消滅に瀕する焼畑』に関する文化生態的研究」研究会(平成20年度 京都大学東南アジア研究所 公募共同研究)
  1. 日 時:2009年1月7日(水) 14:00~18:00 (終了後、懇親会)
  2. 場 所:京都大学東南アジア研究所 稲盛財団記念館3階小会議室II(331室)
  3. 参加者:横山智(熊大・代表者)、河野泰之(CSEAS)、 縄田栄治(京大農)、田中壮太(高知大) 、落合雪野(鹿大博物館)
  4. プログラム: (時間はおおよその目安です)
  5. 14:00-14:10
     共同研究会についての概略説明(横山)
  6. 14:10-15:10
     コペンハーゲンでの焼畑WS報告、および日本側に求められている研究体制について(河野)
  7. 15:10-15:30
      休憩
  8. 15:30-16:30
      研究報告:サラワク研究 (田中)
  9. 16:30-17:30
      研究報告:北タイでの焼畑から常畑への移行と土地利用(横山)
  10. 17:30-18:00
      今後の研究会の進め方と予算の利用方法について
  11. 18:30-
      懇親会