第30回 2006年度テーマ
『「開発」現場における地域研究−環境・貧困・実践−』
2006年度は9月4日(月)〜8日(金)に開催されました。
内容
「開発」、なかでも開発途上国での「開発」の必要性と問題は多様です。経済的な貧困からの脱却にとどまらず、自然環境の保全、人々の生活の「質」の向上、政治的参加の保障といった領域を含むかたちで、「開発」へのニーズは質的にも変化しつつあります。
「開発」は、マス・メディアやインターネットを通じて、ますます私たちにとって身近なものとなりつつあります。文字情報や映像の受け手としてのみならず、大学や地方自治体の交流プログラム、あるいはNGOや市民団体の支援活動、スタディツアーなどを通じて、実際に開発途上国での「開発」そのものに関わりをもつ人々は確実に増えています。「開発」に興味をもつ学生や研究者のみならず、一般市民にとっても「開発」は急速に身近なものとなりつつあります。
フィールドワークを手法とする地域研究者は、「開発」の現場に近いところで、あるいは現場そのもので調査研究を続けています。本年度のセミナーは、アジアの開発途上国において、さまざまな「開発」と関わってきた地域研究者それぞれの「開発現場における地域研究」を題材として、現場を歩くことによって見えてくる「開発」の実相,および研究と実践をつなぐ地域研究の可能性に迫ろうという企画です。初日の総論に引き続き、第2〜4日目は、「環境」、「貧困」、「実践」をキーワードとした各論、そして最終日に総合討論というプログラムです。積極的に議論に参加しようという受講生の応募を期待しています。
プログラム
経済開発と政治発展 |
玉田芳史(京大ASAFAS) |
参与観察から問題関与へ -人類学・現地調査の困難と可能性について |
清水展(九州大学) |
焼畑と開発 |
河野泰之(京大CSEAS) |
森林保全・再生の現場 -開発と環境のせめぎあい |
葉山アツコ(久留米大学) |
社会林業をめぐる日・インドネシア比較 |
岩本純明(東京大学) |
マイクロファイナンスと農村社会 |
藤田幸一(京大CSEAS) |
開発という名の政治 |
岡本正明(京大CSEAS) |
開発と地域と人びと |
村井吉敬(上智大学) |
在地の自覚 |
安藤和雄(京大CSEAS) |
「いりあい」がつないだインドネシアと日本 |
島上宗子(いりあい・よりあい・まなびあいネットワーク) |
村開発のプロセスと援助介入 |
小國和子(元JICA専門家) |
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