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Center forSoutheast Asian Studies Kyoto University

研究プロジェクト

科研費プロジェクト

「プラマプトラ川流域地域における農業生態系と開発-持続的発展の可能性-」
研究代表者:安藤 和雄   (プロジェクトのホームページへ)

研究目的
バングラデシュ、インド東北地域からミャンマーに かけたブラマプトラ川流域地域(図1)は、南アジア、 東南アジアという枠組みで区切られた地域研究にお いて看過されてきた地域である。この地域の農業生 態系を明らかにすることが本研究の目的である。 同地域にはべンガル民族、インド系、チベット系、 ビルマ系の少数民族が多数混住し、南まわりシルク ロードとして知られ、古くから交易の要衝として社 会経済圏を形成してきた。ヒマラヤ東部丘陵からメ ガラヤ、ガロ丘陵にかけては世界でも最も多雨であ る。年間降雨量5,000 ~ 8,000mmをもたらすモンスー ンは、ブラマプトラ川の本流と大小の支流河川を介 して本地域独特の自然環境を特徴づけるとともに、 自然環境適応型の農業生態系をつくってきた。
しかし「近代灌漑農業の拡大」 「衛生的な生活を求め た地下水の飲料水源利用」 「焼畑の定畑化」 「森林伐採」 「氾濫原での道路網・堤防の整備」などの開発と発展 の追求は農業生態系を一変させようとしている。そ れに連動するかのように、地球規模の気象変動によ って、村人がこれまで経験することのなかった雨季の 大洪水害の連続発生、乾季の地下水灌漑稲作の拡大 による飲料用地下水の砒素汚染などの環境問題群が 発生し、健康被害を及ぼすようにもなった。本地域 の持続的発展の可能性を探るために、以下の諸点か ら農業生態系の特徴を明らかし(図2)、村落レベル における農村開発のあり方をアクション・リサーチ 計画試案の成果として提示する。
(1)モンスーン変動の地域水文環境(洪水害など) への影響、(2)地域的な環境変化の要因となった農林 水産業などの農業生態系(農林水産業生産・生活様式・ 社会システム・生活インフラ〈道路・堤防など〉)の 近年の変容、(3)個別村落における環境問題群と農業生態系の持続性についての村人の理解と現状への 対応策、(4)村落における社会経済問題、衛生・医 療問題と村人がとっている具体的な対応策、(5)問題 解決のための農村開発を目指すアクション・リサー チ計画策定に向けた各地域における農村開発を担う 地方行政制度と開発N G O の実態把握、それら組織と の具体的連携策。
本研究は、インドアッサム州のゴウハティ大学地 理学科(G U )、バングラデシュマイメンシン県のバ ングラデシュ農業大学栽培学科(B A U )、ミャンマー ヤンゴン市の東南アジア教育省機構歴史文化センター (S E A M E O-CHAT) を各国のメインカウンターパート 機関としている。国内では、大学院アジア・アフリ カ地域研究研究科、防災研究所、東京大学理学系研 究科、山口大学農学部、筑波大学大学院人間総合科 学研究科、放送大学教養学部、愛媛大学農学部の協 力を得て学際チームを編成し、村落調査班(熱帯農 学、農村経済学、フィールド医学、農業地理学、歴 史学)、地球―地域環境班(気候・気象学、公衆衛生 学、自然地理学、森林資源学、熱帯生態学)、開発パ ラダイム班(開発の人類学、地方行政学)の研究組織 により国際共同研究を行っている。