共同研究 (タイプI: フィールド滞在型)
「情報学者と地域研究者の共同フィールドワークによる地域研究情報化の推進」
研究代表者: 石川 正敏 (東京成徳大学・経営学部)
(実施期間:平成22年度~平成23年度)
- 研究概要
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フィールド研究者と情報学者からなるメンバーがフィールド調査ツアーを行い、フィールド研究者のニーズ・アイデア、情報学者の技術アイデアとの融合を図る。フィールド調査の際にはバンコク連絡事務所を拠点とし、その車両や情報機器、地図等資料を利用するほか、調査後には連絡事務所において、フィールドで取得した情報の分析およびワークショップを実施する。
2011 年度前半、共同研究者富田晋介助教(東京大学大学院農学生命科学研究科)がバンコク連絡事務所への駐在を予定。
- 研究目的・意義・期待される効果
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本研究は下記5 点を目的とする。
- 既存のツール(ハードウェア・ソフトウェア)の地域研究分野におけるより高度な活用方法の提示。
- 地域研究分野に適したハードウェア・ソフトウェアの開発・改良の方向性の提示。
- )地域研究者にとって負担の少ない野外での情報の収集や分析に適したヒューマン・インタフェースを持つ支援システムの開発と方向性の提示。
- 地域研究に適した時間と位置を含む手書き文章、動画、音声のようなマルチメディア地理情報の蓄積、加工、共有を処理する柔軟な時空間データベースの開発と方向性の提示。
- 提案する時空間データベースを応用した地域研究における地理情報の共有や空間分析法の提案。
フィールド調査に基づく地域研究は、地理情報を収集・分析するという点において、現在急速に進展しつつある空間情報技術の適用可能性が非常に高い分野であるが、実際にそうした空間情報技術を地域研究者が使いやすい形で提供し、普及を図るためには、簡単に操作できるインタフェースの開発や耐久性の向上、軽量化など、さまざまな技術的課題が残っている。本研究においてフィールド研究者と情報学者が、調査の現場を共有し、そうした技術的課題に共同で取り組むことによって、地域研究分野の発展に大きく寄与するのみならず、情報学の特にヒューマン・インタフェース、時空間データベース、時空間分析の発展にも寄与できると考えられる。
- 研究成果概要
- 本年度は、地域研究者による野外調査支援として以下のツールの開発および研究者による予備的な評価実験を行い、有用性を確認した。
① 複数の機器を用いて収集されたデータは、書式の不統一などにより、効率的に分析できない。そこで、本研究では、各機器からのデータ抽出と時間に基づいたデータ統合、統合結果の視覚化を支援するツールを開発した。また、評価実験として本ツールをバングラデシュの現地調査で実際に運用し、有用性を確認した。
② 現在でも多くの野外調査では、データの記録に紙が使用されている。しかし、紙による記録は、電子化が困難である。そこで、本研究ではデジタルペンを用いて、紙によるデータの記録と、手書きデータの効率的な電子化を両立させるツールを開発している。さらに本ツールは、GPSやデジタルカメラで収集したデータと統合し、視覚化する機能もある。本ツールの評価実験としてジャカルタで模擬現地調査を行った。その際、地域研究者に実際使ってもらい、本ツールの有効性を確認した。
次年度は、収集したデータの共有化に向けてのデータベースおよび基盤を整備し、有効性を確認する。
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