本研究の最大の意義は、国内外における東南アジア研究関連資料の共有化を具体化するためのツールを開発することである。
地域研究資料は、主に多言語資料に対する対応の難しさから、国内外における共有化が遅れている。なかでも、東南アジア研究に関する逐次刊行物に関しては、国立情報学研究所の目録所在情報サービス(NACSIS-WEBCAT)のような国内図書館界で用いられている基本的な共有化ツールにすら登録が進んでいない場合が多く、所在情報の共有も難しいことが現状である。本研究では、東南アジア研究に関係する司書と研究者によって選択された432
タイトルのコア・ジャーナルの108 図書館・図書室・情報室の所蔵を収録した「東南アジア研究逐次刊行物総合目録」のオンライン化を行った上で、学術雑誌以外の逐次刊行物である新聞・官報に関する所蔵情報の共有を行い、今後国内において東南アジア研究資料の共同収集や、海外研究機関も含めた、地域研究資料の共有化につなげる。
共同収集が実現した際重要になるのは、個々の図書館の全体における位置づけと図書館間の差異化である。そのことを踏まえ、本プロジェクトではまた、東南アジア各国における逐次刊行物出版情報に関するセミナーを開催し、東南アジア研究に関連する司書の資料に対する知識を深めることによって、個々の図書館におけるコレクション形成の方向性を明確化できるように準備をする。また、本研究は、他地域の地域研究資料の共有化にも応用可能なモデルを提示できる可能性がある。
本研究の成果としては、以下の3 点があげられる
- 東南アジア逐次刊行物総合目録データベース(コア・ジャーナル編・新聞編・官報編)の公開によって、国内における東南アジア研究逐次刊行物の所在の把握が、可能になる。
- 東南アジア関連資料所蔵館間の人的ネットワークの形成
- 目録および解説書の出版