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Center forSoutheast Asian Studies Kyoto University

共同利用・共同研究拠点

共同研究 (タイプII: 拠点集中型)

「ミャンマー、バングラデシュ、日本の農村の生存基盤に関する相互啓発実践型地域研究」
研究代表者: 大西 信弘 (京都学園大学・バイオ環境学部)
(実施期間:平成22年度~平成23年度)

研究概要

グローバリゼーションの影響でアジアの開発途上国の農村でも固有文化や活力の喪失問題が起きつつある。「地域で生きぬく」知恵と誇りを基盤とした新しい農村開発パラダイム実践している日本農村のNPO や住民組織の現場に、バングラデシュ、ミャンマーの農村開発関係者を招聘し相互啓発実践型地域研究を実施、問題解決の糸口を模索する。ミャンマーYezin 農業大学のKhin Oo 氏を2011 年に招聘し、農業普及アプローチへの応用を検討する。

研究目的・意義・期待される効果

ミャンマーのバガンのチョウ セイン ピン村で、2010年7月30日に撮影した。この年の雨季は、この時期でも雨がほとんど降っていなかった。こういう年には、写真のように牛の餌にマメ科のタノ-の木の枝についた葉が代用に積極的に使われている(安藤撮影)

今では圃場整備のために消滅した条里遺構のヒガンバナの景観。日本のヒガンバナは3倍体で種子繁殖できず栄養体繁殖なので、もともとは人が救荒作物として、飢饉や不作に備えて植えたもの。球根部を晒して食べたり、糊として使ったという。この景観は千年を遡ることができる世界でも貴重な農村景観であった。亀岡市千歳町(2005年 安藤撮影)

近年、日本の村人たちは、近代化による農村に蓄積されてきた知識・経験の軽視問題を自覚的に捉え、経済開発と同様あるいはそれ以上に、地域の文化や歴史、暮らしの知恵が、「地域で生きぬく」ための精神的支えとなることを再評価している。バングラデシュ、ミャンマー、日本の農村開発関係者が、ワークショップやPLA で相互啓発的に各国の置かれた状況を自覚し、農村開発のパラダイムシフトの意義と可能性を比較検討することが本研究の目的である。

経済偏重のグローバリゼーションによる文化均一化に対抗し、農村文化の独自性の意義を自覚的に確立していくためには、異文化・国際的ネットワークへの参加は必須である。農村の生業や文化のあり方の新しい価値の創出が求められている。研究者には、ネットワークの構築とともに、実践的活動を支援し、「協働研究」として新しいパラダイムの創出と実践をリードしていく、役割が期待される。本研究の意義は「実学としての地域研究」を事例的に展開することにある。

本研究では、日本の農村が抱える問題と地域再生のとりくみについて、PLA による調査をバングラデシュ、ミャンマー、日本の関係者が共同で行い、それぞれの国の経験を比較しつつ、草の根国際ワークショップで相互啓発的に分析を行う。2011 年に招聘される海外客員研究員Khin Oo 氏は、本研究での成果をもとにミャンマーにおける将来の農業・農村開発モデルに提言を行う。ミャンマー、バングラデシュ、日本における、住民組織、NGO、NPO、研究者の草の根の国際協働研究ネットワークが構築され、地域研究の新しい可能性が具体的に提示される。

研究成果概要
本研究では「ネットワーク構築の実学としての地域研究」を事例的に展開することを試みている。本年度は、科研プロジェクト(安藤代表)や、G-COEプロジェクト、生存基盤科学研究ユニット京滋フィールドステーション事業等の他の研究プロジェクトと共同し、バングラデシュ、ミャンマーと日本での国際ワークショップを共同開催した。特に、日本で開催された亀岡市保津町自治会との共同主催の下記の国際会議は、本研究が中心となって開催された。バングラデシュからNGO関係者2名とラオスからはラオス国立大学農学部学部長、日本からは高知県大豊町の農家、山口県周防大島町のNPO、守山市役所、大学関係者など総勢20名が2月26、27日に保津町に集い、保津町自治会での取組の発表と現場視察をメインに、それどれ各自の取組を紹介し、意見交換を行った。保津町での草の根の国際会議は京都新聞でも写真入りで取り上げられ、地元住民に対しても地域研究の成果の紹介を行うことができた。
平成23年度の研究会
  1.  農村開発に関する草の根国際会議オープンセミナー
  2. 山口県阿武町で地元の自治会や地方自治体、山口大学、高知大学、生存基盤科学研究ユニット他の事業と、東南アジア研究所の公募研究プロジェクトが共催して行う、相互啓発実践型地域研究の一環として企画している草の根の国際会議。
  3. 日 時:平成23年8月1日(月)14:00~17:00
  4. 場 所:のうそんセンター
  5. 共 催: 京都大学生存基盤科学研究ユニット、京都大学東南アジア研究所、高知大学自然科学学系「中山間プロジェクト」、阿武地域グリーンツーリズム推進協議会、やまぐち国際協力の里ネットワーク
  6. 後援:プロジェクト保津川、亀岡市文化資料館
  7. プログラム: PDF
  8. 新聞記事: 「”都会のコピー”ではダメ むらづくりセミナー福賀に世界から」(はぎ時事新聞:平成23年8月26日)
  9. 阿武町HPの関連記事: 「むら」の幸せって、なんかねぇ?~阿武町で「むら」を考え直す公開セミナー
  10. 阿武町広報誌関連記事: 広報 あぶ No.482 .8頁
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平成22年度の研究会
  1.  文化と歴史そして生態を重視したもう一つの草の根の農村開発に関する国際会議
  2. 東南アジア研究所共同研究「ミャンマー、バングラデシュ、日本の農村の生存基盤に関する相互啓発実践型地域研究」(代表大西 信弘 京都学園大学・バイオ環境学部)、「 生存基盤科学研究ユニット京滋フィールドステーション事業」科研「ベンガル湾縁辺地域における自然災害との共生を目指した在地のネットワーク型国際共同研究」(代表 安藤 和雄)の3つの研究事業の合同で「文化と歴史そして生態を重視したもう一つの草の根の農村開発に関する国際会議」を開催。
  3. 日 時:平成23年2月26日-27日
  4. 場 所:京都府亀岡市保津町心凛愛荘
  5. 主 催: 保津町自治会、京都大学生存基盤科学研究ユニット、京都大学東南アジア研究所、
          京都学園大学
    協力機関:プロジェクト保津川、亀岡市文化資料館
  6. プログラム: PDF
  7. 新聞掲載: 京都新聞(平成23年2月27日)「里連携で農村開発を」
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