アジアの研究ハブという国際共同研究拠点としての資質を高めるためには、地理的に離れたアジア各地との日常的な研究コミュニケーションのための基盤整備が求められる。ポリコムに代表される従来型の遠隔会議接続は、接続先が同等設備を所有しており該当時間帯に設備を占有でき、また接続先ごとに遠隔会議専門の技術者を必要とするという点において、非常にコストがかかり、また実施のハードルも高いものであった。本研究では技術トレーニングを行う会場の講師と、世界各地の受講希望者のコンピューターとを直接相互接続することで、講師と資料や質疑の共有等を通して遠隔トレーニングを実施できる次世代型遠隔会議システムを実地の研究コミュニケーションにおいて総合的に検証しようとするものである。
次世代遠隔会議システムではその仕組み上、専門の遠隔会議システムや設備、人員をもたない遠隔地であっても、参加者に移動のコストを強いることなく会議やトレーニング(研修)に参加できる。さらには参加者ひとりひとりがコミュニケーションの空間に直接「接続」されるため、参加者はより主体的に参加できるメリットがある。このような理論的なユーザーエクスペリエンスのちがいが、実際の遠隔トレーニングにもたらす変化の評価とともに、経済性や柔軟性、技術的可用性について総合的に評価を行うことで、国際共同研究拠点のコミュニケーション・インフラストラクチュアとして次世代遠隔会議システムがどのように活用できるかについての知見を得ることが期待できる。