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Center forSoutheast Asian Studies Kyoto University

共同利用・共同研究拠点

共同研究 (タイプⅣ: 萌芽型)

「アジアの棚田稲作における持続的農法と棚田保全に関する研究」
研究代表者: 中村 均司(京都大学・東南アジア研究所・特任教授)
(実施期間:平成24年度~平成25年度)

研究概要

東南アジアを含むアジアの棚田では、各地域の生態的環境に応じた持続的な農業が行われており、食糧生産をはじめとし、地域景観と多様な文化をはぐくんでいる。本研究では、日本の丹後・但馬地域と能登・佐渡の棚田、アジアでは中国雲南ハニ族の棚田とブータンの棚田を中心に、文献調査・現地調査を行い、資源循環と環境調和、生物多様性などの観点から持続的稲作農法の意義と課題を明らかにし、併せて棚田保全と地域開発の方向について実践型研究を行う。

研究目的・意義・期待される効果

能登の里山里海(輪島の千枚田)

佐渡の里山(トキの故郷「生椿(はいつばき)」

      

雲南省ハニ族の棚田

東南アジアを含むモンスーンアジアの棚田では、近代農業技術が展開しきれない条件下で、各地の生態環境に応じた持続的な農法が存在し、多様な稲作文化を形成している。伝統的な農業や文化風習、生物多様性の保全を目的に国際連合食糧農業機関(FAO)が認定する「世界農業遺産(GIAHS)」に新潟県の佐渡と石川県の能登が選定され(2011年6月)、アジアの棚田と伝統的な農法が注目されてきているが、フィリピンのイフガオの棚田が危機遺産に指定されるなど、棚田の保全が危ぶまれているところも少なくない。
本研究は、日本とアジアの棚田稲作の現況と課題について、資源循環や環境調和、生物多様性、農村開発などの視点から調査研究を行い、比較・分析を通して、それらの農法の特徴を明らかにすることを目的にする。さらに、伝統的農法の継承に配慮しながら、現代農業技術と組み合わせた持続的な農法および棚田の保全と地域開発の方向を構築する。

資源循環型の持続的な農法の構築は棚田地帯だけでなく、アジアの稲作全体に波及する可能性があり、持続的な農村地域の開発ならびに多様な文化の維持・交流に寄与することが期待できる。また、本研究での成果はアジアの棚田や水田農法の調査研究にも適用することが期待できる。さらに、棚田保全と地域開発の実践型研究の成果は、GIAHSやアジアの棚田の維持・保全、稲作の発展と地域開発の指針となりうる。