科研費プロジェクト
「ドバイで働くフィリピン女性のアイデンティティの再編―キリスト教徒とムスリムの比較」
研究代表者:細田 尚美
- 研究目的
- フィリピンは、メキシコとならぶ現代の海外出稼ぎ大国として知られる。同国では現在、人口の1割にあたる800万人が世界の180を超える国・地域で働いている。このような活発な海外出稼ぎ現象にともない、フィリピン人移民を対象とした研究の数も増加した。ところが、従来の研究は、フィリピンが100以上の民族集団で構成されているにもかかわらず、フィリピン人移民を「フィリピンからの移民」として単一のイメージで描くにとどまっていた。さらに、具体的な調査は移民の送出地域と受入地域の2地点のみに注目し、国内移動と国際移動の結節点となっている大都市―特に首都マニラ―の位置づけについては等閑視している。
- こうした先行研究の動向を踏まえ、本研究は、アラブ首長国連邦(以下UAE)のドバイで働く2つの民族集団の海外出稼ぎの経験とアイデンティティの再編を比較検討することを目的とする。2つの民族集団は、東ビサヤ地方のキリスト教徒とミンダナオ島南西部のムスリムである。フィリピンでは1970年代以降、フィリピン政府軍と少数派のムスリム中心の武装勢力との間で紛争が続いている。そのような状況のもとで、本研究は特に女性に着目し、両民族の出身者が、マニラやドバイといった新たな社会環境で、ムスリムあるいはキリスト教徒、さらには他国出身者らとともに働くという経験をとおして、それぞれの民族、宗教、階級、女性としてのアイデンティティが再編される過程を実証的に考察する。
- 本研究が明らかにする具体的な論点は以下のとおりである。
- (1)海外出稼ぎ経験をとおしたフィリピンのキリスト教徒の女性とムスリム女性のアイデンティティの再編
- (2)国内移動と国際移動の結節点としてのマニラの役割
- (3)ドバイにおけるフィリピン女性の就労環境
- セミナー・シンポジウム一覧
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- 開催日:2009年12月19日(土) 15:00~18:00
- 研究会名:第6回ドバイ移民社会研究会
- 開催場所:京都大学総合研究2号館4階会議室(AA447)[本部構内]
- 発表者1:松尾昌樹氏(宇都宮大学) 「湾岸アラブ型エスノクラシー:バハレーンとクウェイト、カタルの事例から」(仮)
- 発表者2: 平野恵子氏(お茶の水女子大学大学院) 「移住労働者として働きに出ること・出すこと―インドネシア・チアンジュールを事例として―」
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