活動の概要:
歴史学、考古学、地域研究のような人文・社会科学分野では、研究対象と地域要因、時代背景との関りを把握することは重要である。また、その関りに着目することで、新たな研究視点の創造に結びつくこともある。このような研究活動で利用される古地図や衛星写真、歴史史料などの資料の多くは、時間と位置に関する情報を含む。データの分類や偏りを利用者が理解し易い形で示すために情報の視覚化は有効であり、時間と位置を持つデータの視覚化には、地理情報システム(GIS)が広く利用される。GISより、古地図や衛星写真などの地理情報や、歴史史料などのさまざまな情報について、地図を媒介としてそれらの関連を視覚化することができる。さらに、様々な研究者が協調して研究するための効果的な環境を提供するためには、以下の項目に留意する必要がある。
(1) すべての事件、オブジェクトなどを地図に射影し、このとき3次元空間と時間を合わせた4次元空間として表現される。(2)
インターネットを介した分散環境上で、研究者は、それぞれの研究テーマに関連した地理情報や関連情報を動的に選択できる。(3)
GPSによる位置情報を含む注釈、写真などのデータベースへの登録と同時に、他の研究者による閲覧や編集が可能である。(4)
研究活動のための地名辞書、地図、衛星写真などのリソースの分析や再利用が可能である。
HGIS研究会(WHGIS、Working group on Humanities Geographical Information
Science)は、これらの要求を満たす、新しい共同研究および情報共有化環境のシステム構築と実証を目指している。